『風、薫る』亀吉の再登場は何のため? リアリティあふれる三浦貴大の芝居が呼ぶ波紋

『風、薫る』亀吉再登場は何のため?

 9月8日に放送されたNHK連続テレビ小説『風、薫る』第117話では、亀吉(三浦貴大)と環(瀧七海)の親子の再会があった。

 りん(見上愛)が出かけた後、恵風看護婦会の前をうろつく怪しい男が一人。亀吉である。りんの元夫で、環の実の父親の亀吉は、取り次いだしのぶ(木越明)に那須からやってきたと言い、りんがいないかと尋ねた。直美から「一ノ瀬に何か用ですか」と問われると、あわてて出て行った。

 亀吉は何のために来たのか? 年齢を重ねて、実の娘に会いたいと思ったのか、りんにこれまでのことを詫びたいと思ったのか。……まさか金の無心? 等々、疑惑は膨らむばかりである。ひげ面で遠慮がちな動作の亀吉に、往時の威勢の良さはない。恵風看護婦会の戸を開けて中をのぞき込んだり、直美に問いただされて一目散に退散するなど、完全に不審者ムーブをかましていた。

 そんなことはまったく知らないりんと環。将来の進路を決めかねている環は、りんに看護を見学したいと話す。りんからその話を聞いた直美(上坂樹里)も了承し、りんは担当する佳枝(相田翔子)に相談することになった。

 環が看護婦の仕事に興味を持つのは自然なことだ。りんの背中を見て、多くの人に尽くし、喜ばれる看護の大切さを感じていただろう。母がやっている看護を見学して、具体的なイメージを膨らませれば、前向きにやってみようと思えるかもしれない。

 泊りがけの出張看護は、今でいえば看護と介護を兼ねるものといえる。リウマチで腕がうまく動かせない佳枝に対して、りんは、用意された食事を佳枝が自分で食べられようにスプーンを包帯で固定する。環も器を持って手伝った。就寝時、りんとの会話で、環はどうしてわざわざ患者自身に食べさせようとするのかと質問した。

 りんの答えは「自分で食べたいという気持ちがあれば手は出さない」。続けて、看護婦は医師ではないため病気は治せないが、患者の気持ちを大事にすることはできると話す。患者と気持ちを通わせるために時間をかけて関係を築く。それが看護であり、「看護に終わりはないから」との言葉を耳にして複雑な表情を浮かべる環だった。

 環の看護の見学は、佳枝の協力もあって和やかな雰囲気の中で終わったが、環は看護の道に進むことを決めかねているようである。第117話では、だんご屋の忠蔵(若林時英)から、環が引き札の絵を描いてほしいと頼まれる場面もあった。忠蔵は環に絵の才能があると見込んで依頼したが、環は多忙を理由に断った。しかし、その表情はうれしそうだった。

 第117話では、亀吉の2回目の出没があった。環を見て「おめ、環け?」と声をかける亀吉は、ひさしぶりに子どもと接触しようとする離婚夫そのもので、この役を演じる上での三浦貴大の役作りにリアリティを感じた。亀吉の再登場が悪い知らせではないことを祈るばかりだ。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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