『風、薫る』瀧七海が成長した“環”に 『ブラッシュアップライフ』などで見せてきた存在感

『風、薫る』成長した“環”瀧七海の存在感

 第23週「歩々清風」から、NHK連続テレビ小説『風、薫る』に瀧七海が登場する。演じるのは、りん(見上愛)の娘・環。女学校へ入学した環(山田詩子)から時が流れ、明治32年、女学校の最上級生へと成長した環を瀧が演じる。宮島るか、英茉、山田詩子と、物語の時間経過に合わせて演じ手が受け継がれてきた環。母・りんが長い時間をかけて願ってきた“女学校に通う娘”の、その先の姿がいよいよ描かれる。

 2005年11月9日生まれ、福岡県出身の瀧は、「アミューズ 全県全員面接オーディション 2017 ~九州・沖縄編~」で準グランプリを受賞し、芸能界入り。10代から俳優として映像作品への出演を重ねてきた。2022年には都市伝説を題材にした映画『きさらぎ駅』で葉山凛役を演じ、2025年公開の続編『きさらぎ駅 Re:』にも同役で出演。『早朝始発の殺風景』(WOWOW)では叶井役を務めるなど、早い時期から同世代の登場人物を中心に経験を積んできた。

 中でも筆者の記憶に残っているのは、2023年に放送された『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)だ。瀧が演じたのは宇野真里の中学時代。人生を何度もやり直す近藤麻美(安藤サクラ)の物語において、真里は後半の展開を大きく動かす人物であり、瀧は学生時代の“まりりん”としてその人物像をつないだ。同年には『ブラックファミリア~新堂家の復讐~』(読売テレビ・日本テレビ系)に早乙女葵役で出演。復讐の標的となる早乙女家の娘でありながら、亡くなった梨里杏(星乃夢奈)との間にも複雑な関係を抱える役どころを演じ、物語の重要な一角を担った。

 その後も映画『大きな玉ねぎの下で』などに出演し、2026年にはアーサー・ミラーの代表作を上村聡史演出で上演した舞台『るつぼ The Crucible』でアビゲイル・ウィリアムズ役に挑戦。さらに9月25日公開予定の映画『マッチング TRUE LOVE』への出演も決まっており、20歳を迎えた現在、その役幅も着実に広がっている。

 そんな瀧が『風、薫る』で演じる環は、りんの人生を語る上でも欠かすことのできない存在だ。那須の奥田家へ嫁いだりんは、夫・亀吉(三浦貴大)との間に環を授かったものの、亀吉の乱暴な振る舞いに耐えきれず、幼い環を連れて家を飛び出した。その後は東京で母・美津(水野美紀)や妹・安(早坂美海)らに支えられながら生活。りんが看護婦養成所へ入り、看護婦として働き始めてからも、環は家族や直美(上坂樹里)ら多くの人々に囲まれて成長してきた。

 りんが看護婦として働き続けてきた理由の根底にあったのも、環の存在である。自分の力で収入を得て、娘を女学校へ通わせること。夫と離縁し、当時の女性にとって決して当たり前ではなかった道へ進んだりんにとって、環が自分の好きな未来を選べる環境を作ることは、一つの大きな目標だった。看護とは何かに悩み、看護婦を続けることすら難しくなった時にも、りんの生活から環の存在が切り離されることはなかった。だからこそ、環が女学校へ進むことは、彼女自身の成長であると同時に、りんがこれまで歩いてきた道の一つの到達点とも言えるだろう。

 環もまた、母の背中を見ながら、自分の考えを持つ少女へと成長してきた。特に印象深いのが、りんが新潟の女学校で舎監として働くことを悩んでいた際のやり取りだ。環は母と離れて暮らすことになるにもかかわらず、「寂しいと悲しいは違うでしょ」とりんに伝え、母が夢を叶えることは嬉しいと背中を押した。その言葉には、りんだけではなく、直美や美津たちと過ごしてきた時間の中で培われた環の聡明さと優しさが表れていた。

 環の存在は、直美にとっても大きなものになっていった。りんが新潟へ向かった際には、直美が環の“二人目のお母さん”としてそばにいることを決意。親を知らずに育った直美が環と家族のような関係を築いていく中で、やがて実母・文(内田慈)とも向き合うことになる。りんの娘として生まれた環は、美津や安、直美らさまざまな人に見守られながら成長し、本作で描かれてきた血のつながりだけではない家族のあり方を体現する存在にもなっている。

 かつて母に抱かれていた幼い少女だった環も、物語の終盤を迎え、ついに女学校の最上級生となる。これまではりんが「環にどんな未来を残すか」を考え続けてきたが、成長した環は自ら「どんな未来を選ぶか」を考える年齢になっている。『ブラッシュアップライフ』の真里をはじめ、10代の頃から同世代の少女たちを演じてきた瀧も、現在は20歳。映像作品に加えて舞台にも活動の幅を広げるなど、俳優として着実に経験を重ねている。母・りんに守られてきた少女から、自らの未来を考える年齢へと成長した環を、瀧がどのように演じるのか。物語終盤における新たな見どころの一つとなりそうだ。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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