『豊臣兄弟!』市と勝家が迎えた“潔く清々しい最期” 吉岡秀隆の斬新すぎる千利休も登場

『豊臣兄弟!』市と勝家の“清々しい最後”

 NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』第33回「北庄城の別れ」は、浅井長政(中島歩)の最期を描いた第17回「小谷落城」、信長(小栗旬)が壮絶な死を遂げた第27回「本能寺の変」に続く、タイトルバックなしの最重要回。

 勝家(山口馬木也)と市(宮﨑あおい)が、北ノ庄城の天守でその生涯を閉じる一方で、茶々(井上和)をはじめとする織田家の血を引く姫たちのその後や千利休(宗易/吉岡秀隆)の初登場、そして天下人となる秀吉(池松壮亮)と兄を支える小一郎(仲野太賀)の覚悟が示される“前後編”の構成とも捉えられる回となっている。

 まずはその前編の賤ヶ岳の戦い。羽柴軍の圧倒的な兵力の前に勝家は撤退し、市の待つ北庄城に籠城する。小一郎は降伏を促すよう秀吉に訴えるものの、天下一統のため、勝家、そして市までをも亡き者にする腹を決めていた。もちろん市への同情の思いはあれど、全ては天下人となるため。小一郎と同様に必死に湧き上がる感情を押さえ込み、震える秀吉の姿に言葉とは相反する感情が見える。

 虚しく響く利家(大東駿介)の勝鬨や小一郎の慟哭も切ないが、物語の真ん中にいるのは勝家と市。当初、市は秀吉の中に織田を滅ぼす覚悟を察し、それに対抗するため勝家に嫁入りをしたが、今では亡き長政と同じように、勝家自身を愛していた。浅井の家に嫁いだ際、戯言が通じぬ勝家を市はからかったが、今では一緒になるという言葉は戯言ではなくなった。まさに、嘘から出た実。嫁入りという織田家を守るための戦いから、自分自身の幸せのために。愛する夫を見送るのではなく、今度は先立つことを選ぶ市だが、勝家は今一度抗うことを、最後まで市を守ることを誓う。

 勝家は市の手を取り走り出す。北庄城天守の最上階で追い詰められた市は、羽柴の家臣団、そして秀吉の制止を振り切り間に合った小一郎たちに、市は「頼もしいのう。みないい顔をしておる」と、勝家は「これが戦じゃ」と言い遺し、天守から飛び降りる。

 史実では炎に包まれた城内で2人は絶命したとされているが、これは表現としてはふさわしくないかもしれないが、なんとも清々しく、潔い最期だろうか。勝家と市の表情からは、信長の「是非もなし」と同じ、この者たちになら、秀吉と小一郎の兄弟になら、日の本の未来を託せると認めざるをえなかったとも捉えられる。

 身を投げる市を目の当たりにした小一郎は、大徳寺にこもったまま、市の「今の兄を真に支える覚悟があるのか?」という問いかけに苦悩していた。そこで出会うのが千利休。茶人として広く知られ、後に秀吉の側近として重用されることになるが、お茶が苦くて好きではないという驚きの設定にて描かれている。しかし、それは大好きなお茶菓子の甘みを引き立てるため。割れた茶碗を直すのも、苦い茶をすするのも、その先に楽しいことが待っていると思えば苦しみも受け入れられるのだと。

 千利休の考えに触発され、すっかり立ち直った小一郎は、「その先にみなが笑って暮らせる世があるのなら、天下一統も楽しき道のりではないか。笑おう!」と秀吉も若干引き気味のポジティブ思考に。

 ついに月代を剃り上げた秀吉と小一郎は盛大な宴を催し、家臣たちに「わしが天下人になる」と告げた。待ち望んでいたその言葉に家臣たちは喜び沸き立ち、続けて小一郎が「これよりわれらの進む道は遠く、険しく、楽しき道じゃ!」と声を張り上げた。

 次回、第34回「最強のライバル」より秀吉の前に立ちはだかるのは、徳川家康(松下洸平)。天下の覇権を賭けた小牧・長久手の戦いが勃発するわけだが、その先で豊臣家を滅亡させることになるのが、茶々である。

 かつて市が信長から譲り受けた守り刀を、市から継承した茶々。生きて妹たち初(田牧そら)、江(西川愛莉)の守り刀になること、そして「いつか父上のようなお方と巡り合って良い子を産むのです」と市から思いを託される。この先、秀吉の側室となり子を授かることを考えると、皮肉のようなセリフだ。世話係となる寧々(浜辺美波)への覚悟を決めた茶々=井上和の瞳の強さに圧倒されつつも、そこには織田家の宿命とも言える“仇討ち”の怨恨が秘められていた。

■放送情報
大河ドラマ『豊臣兄弟!』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/毎週土曜13:05〜再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送/毎週日曜18:00〜再放送
出演:仲野太賀、池松壮亮、吉岡里帆、浜辺美波、白石聖、坂井真紀、宮澤エマ、倉沢杏菜
大東駿介、松下洸平、中島歩、要潤、山口馬木也、宮﨑あおい、小栗旬ほか
語り:安藤サクラ
脚本:八津弘幸
制作統括:松川博敬、堀内裕介
演出:渡邊良雄、渡辺哲也、田中正
音楽:木村秀彬
時代考証:黒田基樹、柴裕之
プロデューサー:高橋優香子、舟橋哲男、吉岡和彦(展開・プロモーション)、国友茜(広報)
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.web.nhk/tv/pl/series-tep-P52L88MYXY
公式X(旧Twitter):@nhk_toyotomi
公式Instagram:@nhk_toyotomi

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