『さよならノワール』鶴田真由が強気な政治家の“脆さ”を好演 小池栄子が引き出した本音

祐子を演じる鶴田は、『妹よ』『正義は勝つ』など1990年代から数多くのドラマに出演。近年ではNHK連続テレビ小説『らんまん』で、大畑印刷所を営む義平(奥田瑛二)の妻・イチを演じ、現在放送中の大河ドラマ『豊臣兄弟!』では京の遊女屋の女将・吉祥役で、『篤姫』以来18年ぶりとなる大河ドラマ出演を果たしている。長いキャリアの中で、芯の強い女性から人間味あふれる人物まで演じてきた鶴田だが、今回は周囲を寄せつけない祐子の強さと、その奥に隠れた不安や恐怖を丁寧にすくい上げていた。

とりわけ印象に残るのが、講演会を前に祐子が初めて夏海たちへ本音を漏らす場面だ。それまで背筋を伸ばし、強い口調を崩さなかった祐子が、祥仁會の組員が会場にいると知った瞬間、手を震わせ、「殺されるかもしれない」と口にする。鶴田は大きく感情を爆発させるのではなく、表情のこわばりや声の揺れで、それまで祐子が押し隠してきた恐怖を静かににじませていたのだが、この頃になるとあれだけ嫌な人物に映っていた祐子も憎めない人物に思えてくる。
2年前、祥仁會と最初に関係を持ったのは祐子自身だった。秘書から止められていたにもかかわらず関係を続け、疑惑が明るみに出ると、その責任を秘書に押しつけた。その過去まで夏海と絵梨子に打ち明けた祐子に、夏海は逃げることも一つの選択だと伝える。それでも祐子は「そんなことしたら負けよ」と強がる。そこで夏海が返したのが、「逃げても逃げなくても、どちらでも間違いではない」という言葉だった。

勝つか負けるかではなく、自分がどうしたいのか。祐子は「どうせ負けるなら行くわ」と講演会へ向かい、壇上で2年前の事件に自分自身も関与していたことを公表する。そして警察の捜査に協力することを宣言。政界復帰のために立つはずだった場所で、自らの過ちを明かすことが祐子なりにつけたけじめだったのだろう。
毎話、ゲスト俳優との掛け合いから人物の新たな一面が見えてくる『さよならノワール』だが、第8話もまた、鶴田の存在感が光る回となった。
■放送情報
『さよならノワール』
フジテレビ系にて、週火曜21:00〜21:54放送
出演:小池栄子、北香那、岡山天音、荒川良々、味方良介、濱尾ノリタカ、利重剛、眞島秀和、岡部たかし、浅野和之、戸田恵子、渡部篤郎ほか
脚本:井上由美子
演出:河毛俊作、清矢明子、柳沢凌介
音楽:菊地成孔
主題歌:chilldspot「ドラマ」(RECA Records)
衣装:伊賀大介
心理監修:石橋昭良(臨床心理士/非行臨床研究所)
警察監修:石坂隆昌(ユヌ・ファクトリー)
プロデュース:狩野雄太(スタジオ戦略本部 第1スタジオ ドラマ・映画制作センター)
制作プロデューサー:清家優輝、岸川正史(ファインエンターテイメント)
制作協力:ファインエンターテイメント
制作著作:フジテレビジョン
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/sayonaranoir-cx/
公式X(旧Twitter):https://x.com/sayonaranoir_cx




















