松村北斗は“重すぎる愛”がよく似合う 『秒速5センチメートル』などを経て『告白』で結実

恋愛ドラマにおいて、一途なキャラクター=好印象なものとして捉えられることの方が多くある。しかしながら、現実にそんな相手がいたら、あなたは好印象を抱けるだろうか。
例えば、幼少期から大人になるまで、20年以上も「ずっと想いを貫いてきた」と言われたら……筆者はロマンチックだと感じる一方で、嬉しさ以上に、どこか恐怖心を抱いてしまいそうだ。
ドラマ『告白-25年目の秘密-』(日本テレビ系/以下、『告白』)において松村北斗が演じている雪村爽太は、まさにそんな人物だ。25年間、一途に麻里子(岡崎紗絵)を想い続けている。

物語の序盤の爽太の印象は、穏やかでおとなしく、とても気が利く人物。そして麻里子(岡崎紗絵)にとっては、窮地の場面で救ってくれるスーパーマンのような理想的な相手だった。
だが、それはあくまでも一面にすぎない。実は、麻里子が窮地に陥った状況の一部は爽太によって偶然を装って作られたものだったり、麻里子を救うためなら手段を厭わない身の振り方をしたりと、なかなかに狂気な部分を持ち合わせている人物でもある。

こんな役を「まさか第一線でアイドルとして活躍している松村北斗が?」と驚く人もいるかもしれない。ただ、松村がこれまで演じてきた役柄を振り返ると、一途な人物は多いものの、その想いはどこか危うさをはらんでいることも少なくない。
この記事では松村が過去に演じてきたキャラクターを振り返りながら、一途さをただ魅力的に見せるのではなく、その危うさや怖さまで表現してきた演技の魅力について、紐解いていきたい。
松村の俳優としてのキャリアの始まりは、SixTONESというグループの原点とも言える2012年放送のドラマ『私立バカレア高校』(日本テレビ)。同作で演じた浅田哲也は、一言で言えば“メロい”ポジションだった。仲間である達也(森本慎太郎)と文恵(島崎遥香)が両思いなのを知っていながら、片思いをし続ける、そしていざとなった場面では助けに来てくれる。先述した『告白』の爽太から狂気を抜いたような人物で、当時、多くの視聴者の心を鷲掴みにしていた印象がある。
そんな哲也役から一変。『黒の女教師』(TBS系)では主人公であり、生物担当の教師・夕子(榮倉奈々)に交際を迫りストーカー行動を見せるという、少々難ありな生徒役に抜擢。こうして振り返ってみると、松村が演じてきた少々屈折した愛、重ための一途さの系譜は、キャリアの初期の頃からすでに始まっていたとも言えるだろう。
もちろん、屈折したようなキャラクターばかりではない。彼の知名度を一気に上げたNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(2021年度後期)での稔役では、邪気のない、視聴者が満場一致で「素敵!」というような役を演じきったことも記憶に新しい。『恋なんて、本気でやってどうするの?』(フジテレビ系)で演じた柊磨役でも、多くの視聴者を魅了し、柊磨、そして“松村北斗”のファンを増やしていた印象だ。
そのまま王道の2枚目俳優として突き進んでいくかと思いきや、新たな境地を見せたのが映画『キリエのうた』。松村は、婚約者を失った潮見夏彦役で、恋人を失った悲しみからなかなか立ち直れない喪失感を表現。愛情や恋心における、美しいという言葉だけでは片付けられない複雑な表情を見事に咀嚼したのであった。




















