チョン・ヘインは“国民の年下彼氏”を卒業した? 『恋は飴模様』で光る成熟したロマンス

チョン・ヘインは国民の年下彼氏を卒業?

 チョン・ヘインは、“国民の年下彼氏”を卒業したのだろうか。

 Netflixシリーズ『恋は飴模様』で彼が演じるチャン・テハを見ていると、ふとそんな問いが頭をよぎる。本作は、記憶を失ったエリート検事と、彼女を守るため恋人を装う元暴力団員の恋を描くロマンス作品。配信開始以来、Netflixの「今日のTVシリーズTOP10」に連日ランクインするなど、話題を呼んでいる。

 テハは、裏社会に身を置いてきた元暴力団員だ。スーツに身を包み、敵に囲まれても臆することなく次々と相手をなぎ倒していく。鋭い眼差しを向けるその姿は、『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』のヒットによって“国民の年下彼氏”と呼ばれた頃のチョン・ヘインからは、ずいぶん遠いところまできたように見える。

 物語は、本来なら交わるはずのない二人の出会いから動き出す。エリート検事のコ・ジウォン(ハヨン)は、暴力団のボス、ペク・サンギル(ホ・ソンテ)を追う過程で危険に巻き込まれ、記憶を失ってしまう。そんな彼女を救ったのが、組織の一員だったテハだ。

 実はテハにとってジウォンは、学生時代から想い続けてきた初恋の相手でもあった。テハは組織を裏切って彼女を救出し、ジウォンを「コ・ウンセ」として故郷の飴村へ連れていく。そして記憶を失ったジウォンに、自分が彼氏だと嘘をつく。 当然、ウンセはテハを疑う。聞かされた二人の出会いにはどこか不自然さがあり、恋人だという割にはテハの態度もぎこちない。本当に恋人なのかと自らキスをしてみれば、テハは露骨に動揺する。

 そんなウンセだが、飴村で共に過ごすうちにテハへの見方を変えていく。常に自分の身を第一に案じる姿に、“自称彼氏”という怪しさの奥にある、嘘ではない想いを知っていくのだ。そして、ウンセがテハのことを少しずつ知っていくのと同時に、視聴者である私たちもまた、この“自称彼氏”に惹かれていく。

 2018年に放送された『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』で、チョン・ヘインは年上女性に恋するソ・ジュニを演じ、一躍“国民の年下彼氏”と呼ばれる存在になった。ソン・イェジン演じるヒロインを愛おしそうに見つめる眼差し、人懐っこい笑顔、好きな女性の前で見せる不器用さ。愛情が表情や仕草から自然とこぼれ出るようなジュニの姿に、多くの視聴者が心を掴まれた。

 この魅力はテハにも通じるものがある。何も思い出せないまま目を覚まし、見知らぬ男から突然「彼氏だ」と告げられたウンセは、自分の置かれた状況に絶望して泣きじゃくる。そんな彼女にテハは、初対面で惚れたこと、ずっと再会を願っていたこと、大けがをしたときには死ぬほどつらかったことを、一つひとつ言葉を探すように伝えていく。そして、「チャ・ウヌがタイプだ」というウンセに「タイプじゃなくてごめん」と付け加える。

 もちろん、“彼氏”というのは嘘だ。しかし、その嘘をつく理由も、口にする言葉に込められた想いも、すべてウンセを守るためのものだった。恋人を装うことには慣れていないから、振る舞いはいちいちぎこちない。それでも、彼女を大切に思う気持ちだけには一切の迷いがない。

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