興収で読む北米映画トレンド
『オデュッセイア』北米V2、海賊版流出も影響せず 『トイ・ストーリー5』は10億ドル突破

クリストファー・ノーラン監督『オデュッセイア』が、7月24日~26日の北米映画週末ランキングにて2週連続のNo.1に輝いた。北米3942館で、週末興行収入は8700万ドル。初動成績1億2350万ドルからの下落率わずか30%という破格の強さを見せた。
本作は約3時間におよぶ歴史スペクタクル大作で、R指定作品の2週目成績としては、『デッドプール&ウルヴァリン』(2024年)の9680万ドルに次ぐ歴代第2位となった。そもそも8700万ドルという数字は、少なくない話題作の初動成績を上回る規模のものだ。
追い風となったのは、メジャースタジオ各社がユニバーサル&ノーランとの激突を避け、話題作を投入しなかったこと。また、観客の男女比は男性52%・女性48%となっており、初週末の男性59%・女性41%に比べて女性客の割合も増加した。出口調査で「ぜひ勧めたい」と答えた割合は男性84%・女性82%で、性別を問わず高い満足度を維持している。

北米累計興収は2億8637万ドル。ユニバーサル配給のR指定映画としては、ノーランの前作『オッペンハイマー』(2023年)の3億3000万ドルに次ぐ歴代第2位であり、すでに『テッド』(2012年)の2億1880万ドルを上回った。
また、海外81市場では週末興収1億2830万ドルを記録。前週からの継続公開市場では、前週比マイナス10%と北米以上の維持率を記録した。ユニバーサルによると、海外初動が1億ドルを超えた作品として、公開2週目の維持率は史上最高だという。
『オデュッセイア』の海外興収は3億5326万ドルで、世界累計興収は6億3963万ドル。中国・日本・韓国などでの公開を残しながら、早くも今年のハリウッド映画の世界興収ベスト5作品に入っており、10億ドル突破も現実的になってきた形だ。
興行を大きく押し上げているのが、IMAXなどのプレミアムラージフォーマット上映で、初週は北米興収の53%を占めたが、2週目には57%まで比率を伸ばした(IMAXだけでも全体の27%に達している)。
公開2週目のIMAX世界興収は4800万ドル(北米2410万ドル・海外2400万ドル)で、IMAXの2週目歴代記録を更新。また、IMAXの世界累計興収は1億4000万ドルで、公開後わずか10日で1億ドルを突破した。これは『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)に次ぎ、IMAX史上2番目の速さとなる。

なお、ノーランがベストな鑑賞環境と推薦するIMAX 70ミリフィルム上映は、わずか世界41スクリーンで累計1690万ドルを記録。これはIMAX興収全体の12.1%にあたり、映画ファンの熱烈な需要を受けて、今後は9月までほとんどの上映回が完売しているという。
IMAXのリチャード・ゲルフォンドCEOは、『オデュッセイア』を「大ヒット作という域を超え、世界的な文化現象となった」と太鼓判。リピーターと新たな観客の両方がIMAXシアターを訪れていること、今後も長期にわたるヒットとなりうることを強調した。
なお、本作はこの週末に高画質の全編映像がSNSに流出し、約2時間半で210万回以上閲覧されたうえ、低画質版も約2時間でおよそ5万回再生された。もっとも、すでに映像は削除されているほか、少なくとも週末の興行に影響は表れていない。劇場体験を重視する本作の価値は、海賊版ではとうてい代替できないということだろう。
製作費は2億5000万ドル、宣伝費は1億2500万ドル。熱狂的な支持とプレミアムラージフォーマットの需要から、夏のみならず秋までの興行力が期待されている。次の週末には『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』が公開され、観客の関心が散る懸念はあるものの、映画館側は2本そろってのヒットに期待している状況だ。
『オデュッセイア』は日本では9月11日公開。






















