『地獄に堕ちるわよ』の見事な構成とルックはどう生まれた? 4人のキーパーソンが語り合う

【独占】『地獄に堕ちるわよ』スタッフ座談会

実は“いかにもNetflixっぽい作品”ではない『地獄に堕ちるわよ』

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ーー今回の『地獄に堕ちるわよ』の成功を確信したのはどのタイミングでしたか?

岡野:もう本当に分かりやすく、例えばレストランに行ったりとか、そういうプライベートで生活している時に、『地獄に堕ちるわよ』のことを人が話しているのが耳にする機会が多くて。ちゃんと作品が広がって良かったなあって思いましたね。

ーー配信されてみないとわからないものなんですか?

岡野:それでいうと、Netflix社内の反応でなんとなく分かる感じはあります。気がつくと、みんなが語り出しているというか。やっぱり、どんなにいい作品でも、語りたくなる何かがあるのかないのかでリアクションが大きく違ってくるんですよね。そういう意味で、今回の『地獄で堕ちるわよ』にはみんなが語りたくなるものが社内でもあったように思います。ただ、不安ではありました。瀧本監督には『これ、絶対に当たらないから覚悟しておいたほうがいいよ』って言われてたんですよ(笑)。

ーー(笑)。それは作品が仕上がった段階で?

岡野:はい。というのも、『地獄に堕ちるわよ』って、その題材についてはいかにもNetflixっぽいという声も事前にたくさんいただきましたが、実は作品の中身とか作り方はこれまで話題となってきた作品とも少し違うトーンや構造になっている作品で。エピソードの終わりごとに、わかりやすいクリフハンガーのようなものもあまりないですし、テレビシリーズというより長い映画のような意識で作られていた箇所もたくさんあります。結果的に、こうしてたくさんの方に届いて、やっぱり細木数子という人には、今の時代において多くの人が失ってしまったパワーみたいなものがあったんだなってことを感じました。それは、良くも悪くもですけど。ああやって自分の人生を美化して語ってしまう姿というのも、自分はわかってしまうところもある。共感とか好感とは違う、この人の人生を覗き見てみたいと思わせる何かがあったんだろうなって。こうはなれないしなりたくもないけれど、ある種の憧れのようなものを感じてくれた視聴者の方も多かったと思うんですよね。一方で、その裏側の面を、最初から細木数子のことが好きではないとおっしゃっていた瀧本監督が掘り起こしてくれたことで、細木数子にいい感情をもっていなかった視聴者にも、その生き様を最後まで見届けてもらうことができたんじゃないかなって。

岡野真紀子

ーー考えてみれば、細木数子の地上波での全盛期の時代って、岡野さんはまだ子供ですよね?

岡野:そうなんです。ほとんど記憶になくて。

ーーそういう方がプロデューサーだったからこそ、細木数子を知らない世代にも興味をもってもらえる作品になったのかもしれませんね。

瀧本:でも、僕らも(細木数子の番組を)見てなかったでしょ? 存在は知ってても。

河津:20、30代の頃は現場での仕事が一番忙しかったので、テレビを見る暇なんてなかったですから(笑)。

ーー同じ世代なのでよくわかります(笑)。

原田:自分も、嫌いという感情にもならないくらい興味がなかったです。ただ、この作品で良かったと思うのは、戦後のあの貧困の中からのし上がっていく主人公が女性だったということ。実は、そういう作品ってあまりなくて。大体のし上がっていくのは男性なんですよ。そこに自分は面白さを感じて。もしこの作品が『細木数子物語』みたいなものになっていたら、自分も失敗したんじゃないかと今でも思ってるんです。そうじゃなくて、日本の戦後に、こういう良くも悪くもパワフルに生きた一人の女性がいたということ。そこがちゃんと描けたことがよかったんだと思います。

原田満生

河津:これまでずっと映画の仕事をしてきて、やっぱり自分が理想をする作品像みたいなものがあるんですね。例えばその一つが『ゴッドファーザー』だとすると、監督の(フランシス・フォード・)コッポラがいて、美術監督のディーン・タヴォウラリスがいて、撮影監督のゴードン・ウィリスがいて、その3人が束になってああいう作品を作り上げることができたということが、わりと実感としてわかるんですけど。映画に関わっている人間としては、そういうことを感じる瞬間に立ち会えることが一番幸せなことで。今回、作品の題材がどうとか、ヒットするかどうとか、そういうことではなく、原田さんと瀧本さんとかなり濃密に仕事をすることができて、そういう瞬間の片鱗をちょっと感じることができたかなという気がしてます。

原田:準備期間からクランクアップまで1年以上かかりましたからね。1年以上モティベーションを保ち続けるのって、本当に大変なんですよ。今の時代、とても映画では一つの作品にそれだけ時間をかけられないので。そういう意味でも、Netflixでしかできないことができたと思います。

瀧本:原田さんのビジョンを実現するのは本当に大変なことなんだってことも、今回よくわかりました(笑)。

■配信情報
Netflixシリーズ『地獄に堕ちるわよ』
Netflixにて世界独占配信中
出演:戸田恵梨香、伊藤沙莉、三浦透子、奥野瑛太、田村健太郎、中島歩、細川岳、細田善彦、周本絵梨香、金澤美穂、笠松将、永岡佑、中村優子、市川実和子、高橋和也、杉本哲太、余貴美子、石橋蓮司、富田靖子、生田斗真
監督:瀧本智行、大庭功睦
脚本:真中もなか
音楽:稲本響
撮影監督:河津太郎(JSC)
美術監督:原田満生
録音:高野泰雄
装飾:石上淳一
編集:髙橋信之、岡﨑正弥
スタイリスト:纐纈春樹
VFX スーパーバイザー:牧野由典
エグゼクティブプロデューサー:岡野真紀子(Netflix)
プロデューサー:坂野達哉、深津智男
ラインプロデューサー:原田耕治
制作プロダクション:ジャンゴフィルム
企画・製作:Netflix

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