『LOVED ONE』が視聴者に愛された理由 ディーン・フジオカ×瀧内公美の心地よい距離感

『LOVED ONE』が視聴者に愛された理由

 本作は人の死に込められた“愛”を掬い上げ、現実に遺された生きる人々に託していく。しかし、それは同時に愛に付随する“後悔の記憶”をも浮き彫りにしてしまう。

 大切な存在を失って、悲しみに打ちひしがれる人々の姿がどのエピソードでも映し出されており、観終わってから心が晴れることはほとんどない。それでも、第3話では過去に息子を失った父親が死の間際にとった行動の真意がていねいに紐解かれ、第9話では孤独な老人が偶然の出会いによって生まれた絆を切なくもあたたかな余韻とともに活写する。被害者遺族が味わう喪失感や虚無感を鮮明に映したうえで、彼らが最後に受け渡された“愛の記憶”をほのかに照らし出す。だからこそ、わかりやすい救いが描かれない結末だとしても、視聴者は未来への希望をたしかに感じとることができる。

 それぞれの専門を受け持つ若手法医学者たちが集結したMEJのメンバーも、“LOVED ONE(遺体)”と接する時間を通して、心の奥に秘めていた思いに触れる。本田(八木勇征)と高森(綱啓永)は大切な人の死や過去のトラウマとあらためて向き合い、涼音(安斉星来)と由季子(川床明日香)は家族との関係性を見つめ直す。各キャラクターが深掘りされたエピソードは、それぞれが“LOVED ONE”という言葉の本当の意味を知り、MEJの結束を深めることにも繋がった。4人の変化と成長も、最終話では見逃せないポイントになるはずだ。

 本作では、瀬戸際で命が救われる瞬間や一か八かの救出劇など、劇的な展開や大掛かりなシーンが描かれることはない。しかし、近年の医学ミステリーの中においても、静謐に生と死に向き合う本作は、日常を過ごす中で当たり前に受け取っていた愛情と健やかな人生の記憶を、しかと握りしめるきっかけとなる作品だ。

 「白峯女子連続殺害事件」の真犯人の正体や、真澄と麻帆それぞれの過去、検事の太田(笠松将)の真意など、まだまだ多くの謎が残されている本作。最終話では何が明らかになるのか。心して物語の結末を見届けたい。

■放送情報
『LOVED ONE』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00~22:54放送
出演:ディーン・フジオカ、瀧内公美、八木勇征、綱啓永、安斉星来、川床明日香、草川拓弥、山口紗弥加
脚本:守口悠介、市東さやかほか
プロデュース:加藤達也
演出:松山博昭、並木道子
制作協力:AOI Pro.
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/lovedone/
公式X(旧Twitter):https://x.com/lovedone_fuji
公式Instagram:https://www.instagram.com/lovedone_fuji/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@lovedone_fuji

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる