『LOVED ONE』が視聴者に愛された理由 ディーン・フジオカ×瀧内公美の心地よい距離感

いよいよ6月24日に最終話を迎えるヒューマンミステリードラマ『LOVED ONE』(フジテレビ系)。法医学専門チーム「MEJ(メディカルイグザミナージャパン)」が突如、閉鎖されるなか、法医学者の水沢真澄(ディーン・フジオカ)は15年前に起きた「白峯女子連続殺害事件」の真犯人を探すために奔走する。
アメリカの法医学の現場では敬意を込めて、“遺体”のことをかつて誰かに愛された存在“LOVED ONE”と呼ぶ。その言葉のとおり本作で描かれているのは、遺された痕跡からたどり着く真実だけでない。命が尽きるその瞬間まで、彼らが何に手を伸ばそうとしていたのか。誰かを思い、思われた記憶と、生きている時間に光を当てている作品だ。

主人公の真澄を演じるのは『シャーロック アントールドストーリーズ』(2019年)以来、約6年半ぶりにフジテレビ系列のドラマで主演を務めるディーン・フジオカ。現在はモデルや俳優業に留まらず、アーティスト活動や映画監督、さらにはサバイバルオーディション番組のプロデューサーまで担う多才ぶりを発揮している。ディーンが演じる真澄は、前述の作品で演じた犯罪捜査専門のコンサルタント・誉獅子雄と比べると物腰も柔らかで、静かに真実に向かって歩みを進める人物。それでも自身の信念を決して曲げない彼は、“LOVED ONE(遺体)”を目の前にした際はまとう空気を一変させ、一人ひとりの人生と誠実に対峙する。聡明でミステリアスな役柄で名を馳せたディーンだが、本作で演じた真澄は一見、掴みどころのない雰囲気を醸し出しながらも、子どものように純粋な思いが言葉の節々に表れる。風変わりな行動の奥に秘めた確固たる意思は、柔らかさの中に芯を残したディーンの芝居によって、よりいっそう切実に伝わってきた。
天才法医学者の真澄とバディを組み、MEJのセンター長を務めるのが、出世競争に敗れたエリート官僚の桐生麻帆(瀧内公美)。これまでは物語に緊張感をもたらす厳格なキャラクターを演じてきたイメージの強い瀧内公美が、本作では真澄や刑事の堂島(山口紗弥加)に振り回されながらも、周囲の人々に感情移入して涙する麻帆の豊かな感受性を芝居に宿す。シリアスな空気を和らげる彼女のポップなリアクションも、硬派な物語には欠かせない要素のひとつだった。

特に麻帆は個性の強いメンバーが集まるMEJを取りまとめながら、それぞれの思いが衝突してしまいそうになったときは間に割って入り、彼らの苦悩や葛藤を真正面から受け止める。そして、すべてを受け止めたうえで、対話を通して自身の思いを素直に伝える。第10話では、死刑判決を下された芹沢真一(渋谷謙人)の無実を訴える姉の明子(りょう)に対して、「真澄先生はどんなわずかな違和感も決してあいまいなままにはしなかった。必ず真実を明らかにする。それはご遺体のためでもあり、今を生きている人のためでもあるからです」と答えていた麻帆。彼女の真摯でまっすぐな言葉は、不可解な事件に苦しめられた人々の心を何度も突き動かしてきた。まさに滝内が演じる麻帆というキャラクターの魅力を象徴するシーンといえるだろう。





















