『GIFT』は車いすラグビーの“面白さ”を描けたのか? 王道路線に感じたジレンマと希望

本作の試み自体は極めて挑戦的であり、社会的に大きな意味がある取り組みだ。だが、そこには「地上波、しかも日曜劇場という大きな看板」を背負うがゆえのジレンマ、あるいは過剰な“配慮”のようなものが透けて見えた。
器こそ「パラスポーツ」だったが、中身は驚くほど旧来的な「王道スポーツドラマ」だったのだ。障がい当事者たちのリアルな描写や、日々の生活の苦労にどこまで踏み込めていたかという疑問もそうだが、何よりスポーツとしての戦略的な深みや面白さを、ドラマのシステムとして組み込もうとする意思が薄かったように感じる。
車いすラグビーは、男女混合であり、障がいの度合いによって細かく分けられた「持ち点制度」を組み合わせて戦う、極めて緻密なパラスポーツだ。決して「エースがいれば勝てる」スポーツではない。コートに立つ4人がそれぞれの持ち点(障がいの重さ)の中で役割を全うし、全員の連動で道を開く。文字通り、小さな星も大きな星も関係なく、全員が輝いて初めて成り立つのがこの競技の醍醐味である。

ところが本作は、中盤以降、「エースありき」「エース不在だと勝てない」という、山田裕貴や本田響矢といった圧倒的な訴求力を持つ俳優たちに頼り切った王道路線へと舵を切ってしまった。もちろん、他のチームメンバーにドラマがなかったわけではない。だが、結果として女性選手や障がいの重いローポインターの選手たちが、物語を回すための単なる「記号」になってしまったように見えたのが、たまらなく悲しかった。
コートに立つ全員が星のように輝き、宇宙を作り上げるのがこのスポーツの真理であるはずなのに、結果的に「一番星」の輝きばかりが目に焼き付いて終わってしまったのだ。最終回の前に涼がこの世を去り、余計にその「一番星」の強烈な残像を決定づけることになってしまったのは、なんとも皮肉だ。車いすラグビーの試合描写には並々ならぬ力が入っていた一方で、その根底にあるパラスポーツとしての特異性や熱量には目を向け切れていなかったチグハグ感が、最後まで拭えなかった。

と、ここまで苦言ばかりを並べてしまったが、それでも私は本作の意義を否定するつもりはまったくない。ゴールデンプライム帯の地上波ドラマで、パラスポーツと真正面から向き合ったその挑戦。未知のスポーツの激しさを、逃げずに描き切ろうとした役者陣と制作陣の態度、そしてあのド迫力の試合シーンは、間違いなく“本物”だった。
完璧な結末ではなかったかもしれない。だが、テレビドラマがパラスポーツをエンターテインメントへと昇華させようともがいたその軌跡は、今後の映像界において、確かな「ギフト」として残り続けるはずだ。
■配信情報
日曜劇場『GIFT』
TVer、U-NEXTにて配信中
出演:堤真一、山田裕貴、有村架純、本田響矢、細田善彦、細田佳央太、円井わん、越山敬達、八村倫太郎、やす(ずん)、水間ロン、冨手麻妙、ノボせもんなべ、杢代和人、宮﨑優、生越千晴、町田悠宇、澤井一希、中山脩悟、田口浩正、西尾まり、真飛聖、麻生祐未、菅原大吉、吉瀬美智子、玉森裕太、安田顕、山口智子
脚本:金沢知樹
企画・演出:平野俊一
演出:加藤尚樹、伊藤弘晃
プロデューサー:宮﨑真佐子、内川祐紀
協力プロデューサー:中澤美波
監修・協力:一般社団法人日本車いすラグビー連盟
製作著作:TBS
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/GIFT_tbs/
公式X(旧Twitter):@gift_tbs
公式Instagram:gift_tbs
公式TikTok:@gift_tbs





















