『田鎖ブラザーズ』岡田将生の涙に違和感? 渡辺真起子の持つ“怪物性”から真意を考察

『田鎖ブラザーズ』渡辺真起子の“怪物性”

 また、ドラマ『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS系)で見せた、厚生労働大臣・白金眞理子役も印象深い。女性初の総理大臣を目指して主人公たちの前に立ちはだかる政治家を、威風堂々と演じた。

 これらの印象から、「渡辺真起子が出てきたら、なんかタダじゃ済まない感じがする」という、ある種のハラハラ感やワクワク感を覚える視聴者も少なくないはずだ。

 一方で、1月期に放送されたばかりのドラマ『キンパとおにぎり〜恋するふたりは似ていてちがう〜』(テレ東系)では、また違った顔を見せている。渡辺が演じたのは、韓国人のヒロイン・リン(カン・ヘウォン)のインターンシップ先の社員、星海亜沙子。日本での就職や将来の選択に思い悩むリンの力強い後押しとなる大人の女性を好演した。こうして「善き理解者」として彼女が画面にいてくれるときの安心感と心強さは、何物にも代えがたい。

 真にとって秦野の存在は、「何をやってもバレる」という母親の姿とどこか重なるものだったのかもしれない。周囲の大人たち、そして稔にさえ見せることができなかった本心を秦野だけは受け入れてくれるとしたら。真にとって、秦野は「聖母」になりうる。

 キャラクター像こそ違えど、渡辺が演じる人物には常に「生きる力の強さ」がみなぎっている。だからこそ、その強さが悪に傾いたときの「怪物」としての恐ろしさも、善に傾いたときの「聖母」としての包容力も、どちらもすさまじいリアリティを持って迫ってくる。その正体がどちらに振れるか分からないからこそ、物語のスリルはより一層深まっていく。

 しかし一方で、これまで頑なに本心を隠し、冷静に事件を追い続けてきた真が、これほど簡単に秦野を信じ込み、その言葉にのまれてしまったかのような姿には、 どうしても違和感が残る。

 もしかしたら、真は秦野の真意を暴くために、あえてあの場所で「本心」を見せたのではないか。自分の最も深い傷口を晒すことで秦野を油断させ、彼女の懐の奥深くにある核心へと近づこうとしている。そんな、執念深い刑事としての顔を完全に捨てきっていない可能性も十分に考えられる。

 もしそうであるなら、第7話の予告で描かれた秦野をめぐる兄弟の対立も、また違った意味合いを帯びてくる。真の涙は魂の救済だったのか、それとも「怪物」を追い詰めるための巧妙な罠だったのか。秦野という深淵に足を踏み入れた兄弟が、どのような結末を迎えるのか、今後の展開からますます目が離せそうにない。

■放送情報
金曜ドラマ『田鎖ブラザーズ』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:岡田将生、染谷将太、中条あやみ、宮近海斗、和田正人、飯尾和樹(ずん)、長江英和、山中崇、仙道敦子、井川遥、岸谷五朗
脚本:渡辺啓
音楽:富貴晴美
主題歌:森山直太朗「愛々」(ユニバーサル ミュージック)
演出:山本剛義、坂上卓哉、川口結
プロデュース:新井順子
撮影監督:宗賢次郎
編成:高柳健人、吉藤芽衣
製作:TBSスパークル、TBS
©TBSスパークル/TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/TAGUSARI_bros/
公式X(旧Twitter):@tagusari_tbs
公式Instagram:tagusari_tbs
公式TikTok:@tagusari_tbs

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる