『月夜行路』東京編は“文学版ホームズ”の幕開け “ルナ”波瑠の切ない過去が動き出す

『月夜行路』東京編は“文学版ホームズ”

 当初、事件は倉田の認知機能の衰えにつけ込んだ特殊詐欺だと見られていた。だが、ルナはその見立てに違和感を覚える。ウォーターサーバー会社への確認から、倉田は認知症ではなく、ただ人を疑わない優しい人物だったことがわかる。では、なぜ孫を名乗る電話を信じたのか。なぜあの3冊の本を残したのか。ルナは、倉田がその本を使って、自分に何かを伝えようとしていたのだと考える。

 答えは、犯人の名前ではなく倉田自身の状態にあった。坂口安吾『小さな山羊の記録』にある“耳が悪い”という要素から、ルナは倉田の耳が聞こえにくいことにたどり着く。倉田の補聴器はスマホと連動していた。彼は機転を利かせ、その補聴器を受け子の女性(一ノ瀬美空)の紙袋に忍ばせていたのだ。つまり、あとから詐欺グループの拠点を追跡できるようにしていたのである。

 そして、最後に残った10円玉の意味も切ない。倉田は受け子の女性に本を渡し、その代金として10円を受け取っていた。そうすることで、彼女が本を盗んだのではなく、買ったのだと示せるようにしたのだ。詐欺に関わってしまった若い女性を、倉田は最後まで守ろうとしていた。自分の家族に対してできなかったことへの罪滅ぼしでもあったのかもしれない。その優しさは、彼女にも確かに届いていた。

 事件は解決した。だが、ルナ自身の謎はまだ残っている。『吾輩は猫である』の初版本をヒントに父のパソコンのパスワードを解こうとするが、答えは一致しなかった。大阪編で涼子の止まっていた時間が動き出したように、東京編ではルナが家族と向き合うことになりそうだ。

■放送情報
『月夜行路 ―答えは名作の中に―』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:波瑠、麻生久美子、作間龍斗、久本雅美、栁俊太郎、渋川清彦ほか
原作:秋吉理香子『月夜行路』(講談社文庫)
脚本:清水友佳子
音楽:Face2fAKE
演出:丸谷俊平、明石広人
チーフプロデューサー:道坂忠久
プロデューサー:水嶋陽、小田玲奈、松山雅則
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビ
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/getsuyakouro/
公式X(旧Twitter):https://x.com/getsuyakouro

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