劇場版『名探偵コナン』は“大爆発”から卒業? 『ハイウェイの堕天使』などから考察

しかしここ数年の作品では、こうした流れに変化が起きているように見える。たとえば2024年の第27作『100万ドルの五稜星』。箱館戦争を思わせる「五稜郭」と「軍艦」の対立という大きな舞台装置を用意しつつも、あくまで物語の中心は怪盗キッドや服部平次、“狐面の剣士”などが繰り広げる剣戟アクションだった。

その一方で2025年の第28作『隻眼の残像』では、長野県警の大和敢助や諸伏高明によるガンアクションが大きな見せ場に。そしてクライマックスに待ち受けていたのは、雪山の真っただ中で繰り広げられるカーチェイスだった。
どちらも爆発シーンや壮大な舞台装置に頼るのではなく、洗練されたアクションやスピード感あふれるチェイスシーンで観客に快感を与えようとしているのが特徴だ。さらに言えば最新作の『ハイウェイの堕天使』も、この路線の延長線上に位置づけられる。

同作の中心となっているのは、神奈川県警の白バイ小隊長・萩原千速と、謎の黒いバイク「ルシファー」との対決。序盤から一貫して、スピード感あふれるカーチェイスを見せ場として展開している。後半では爆発シーンやコナンの活躍も描かれるものの、同作最大の盛り上がりはやはり千速のバイクアクションだったと言えるだろう。
劇場版『名探偵コナン』にどんな方向性を求めるのかは人それぞれの好みだが、スケールの大きさ一本で勝負していれば、いずれインフレ化して観客に飽きられてしまうもの。シリーズを延命するためにも、これまでと違った路線を目指すのは賢明な戦略ではないかと思われる。
実際に『ハイウェイの堕天使』は、公開早々にシリーズ歴代No.1の成績を収めている。この成功を踏まえた上で、来年以降の作品ではどのような新展開が用意されるのだろうか。今後も劇場版『名探偵コナン』から目を離せない。
■公開情報
『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』
全国公開中
キャスト:高山みなみ(江戸川コナン役)、山崎和佳奈(毛利蘭役)、小山力也(毛利小五郎役)、沢城みゆき(萩原千速役)、三木眞一郎(萩原研二役)、神奈延年(松田陣平役)
スペシャルゲスト:横浜流星、畑芽育
原作:青山剛昌
監督:蓮井隆弘
脚本:大倉崇裕
音楽:菅野祐悟
主題歌:MISIA「ラストダンスあなたと」(Sony Music Labels Inc.)
アニメーション制作:トムス・エンタテインメント
製作:小学館/読売テレビ/日本テレビ/ShoPro/東宝/トムス・エンタテインメント
配給:東宝
©2026 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会






















