『サバ缶、宇宙へ行く』は青春ドラマを突き進んでいく予感 “朝野”北村匠海の成長にも期待

『サバ缶、宇宙へ行く』は青春ドラマ

 “鯖街道”の起点でもある福井県小浜市の水産高校で、生徒たちが宇宙食開発に挑んだという実話を基にしたフジテレビ系月9ドラマ『サバ缶、宇宙へ行く』が、4月13日にスタートした。第1話の冒頭から宇宙規模の移動ショットや特徴的な俯瞰・正面のカット、動きの多い編集など、鈴木雅之演出の定番ともいえる画面が連続するためか、高校を舞台にした教師と生徒の物語であってもよくある学園ドラマのにおいはあまりしてこない。だが極めて実直に、“青春ドラマ”を突き進んでいく予感は確かにある。

 物語は2005年。統廃合の危機に直面している若狭水産高校に朝野峻一(北村匠海)という一人の新米教師が赴任してくるところから幕を開ける。海が好きだからというふんわりとした動機でこの町にやってきた朝野だったが、授業をほとんど聞かない生徒たちや、同僚の黒瀬(荒川良々)から言われる「この学校は夢を追う学校じゃない。現実と戦う学校」という言葉を受けて思い悩むようになる。そんななか、朝野は通りかかった海岸で生徒の菅原奈未(出口夏希)がひとり踊っている姿を見かけるのである。

 つぶれかけの学校に赴任して少々迷子になりかかっている朝野が、生まれ育った地元で誰からも期待されていないのだと信じ込んだまま大人になっていく若者のひとりである奈未に言う「やってみなきゃわからない」の言葉。これこそが、この物語の最大のテーマ――あるいは物語を動かしていく動力というわけだ。諦観ムードがただよう町の空気が、“よそ者”である朝野の登場によって変わっていく。シンプルな道筋ではあるが、朝野自身も自ら発した言葉で自らの背中を押されている。この不完全な教師の成長と変化もまた注目すべきポイントになってくるのだろう。

 「期待されない厄介者にだって価値がある。それを証明したかった」。これは朝野からの勧めで生徒研究発表大会に出場することになる奈未が、プレゼン用の資料に記した言葉である。彼女は先述の「やってみなきゃわからない」という言葉をもらい、地域の課題である大型くらげからコラーゲンを抽出して豆腐を作ることを思いつく。同時に彼女は、期待もされず役にも立たないと思われているくらげたちに、自分自身の姿を重ねている。フェデリコ・フェリーニの名作『道』のなかで語られる「こんな小石でも何かの役に立っている」という台詞を想起してしまう一連だ。

 さて、教師と生徒、さらに漁師など小浜の町の人々の群像と同時並行で描かれていくのが、JAXAで開発部門のエンジニアとして働いていた木島真(神木隆之介)の姿である。周囲から厄介者として扱われていた彼は突然にも宇宙食の開発を任され、東口(鈴木浩介)と共に挑むことになる。現時点ではまだ別々の道をたどっているが、ゆくゆくは朝野たち水産高校の物語と一つにつながっていくに違いない。公式サイトの相関図には大きく「第1期」とある。物語が進むにつれ、相関図に大きな変化が生じることは必然であろう。

■放送情報
『サバ缶、宇宙へ行く』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:北村匠海、出口夏希、黒崎煌代、八嶋智人、三宅弘城、村川絵梨、佐戸井けん太、熊切あさ美、吉本実由、ソニン、迫田孝也、鈴木浩介、荒川良々、神木隆之介、井上芳雄(語り)ほか
原案:『さばの缶づめ、宇宙へいく』(小坂康之、林公代/イースト・プレス)
脚本:徳永友一
音楽:眞鍋昭大
主題歌:Vaundy『イデアが溢れて眠れない』(SDR/Sony Music Entertainment)
演出:鈴木雅之、西岡和宏、髙橋洋人
プロデュース:石井浩二
プロデューサー:野田悠介、中沢晋
制作協力:オフィスクレッシェンド
制作著作:フジテレビジョン
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/sabauchu
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