吉岡里帆のミステリアスな空気に誰もがくぎ付け 『豊臣兄弟!』慶役も代表作になる予感

NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』第12回「小谷城の再会」で吉岡里帆演じる謎めいた慶という女性が登場した。小一郎(仲野太賀)が直(白石聖)の墓前に京の土産を供え、手を合わせていると、ふいにお堂から出てきたのが慶だった。何やら怪しげな男と密会していたようにも見える。そんな妖艶な魅力を放つ慶から小一郎は、視線を外すことができなかった。
吉岡里帆が4年ぶりにどんぎつねのキャラクターを演じるCMが話題になったが、暗い目をした慶のミステリアスな雰囲気も魅惑的で、小一郎がロックオンされ、目が釘づけになってしまったのもまた必然だろう。
直の墓前での出会いから程なくして、織田信長(小栗旬)に呼び出された小一郎が岐阜城に赴くと、そこには安藤守就(田中哲司)が控えていた。信長は小一郎に「嫁をとれ」と命じ、段取りよく守就が娘の慶を紹介したのだった。信長の命令に背けるはずのない小一郎の結婚相手は慶に決まった。

そして第13回「疑惑の花嫁」では、慶の過去や抱えている葛藤なども解き明かされるようだ。出世して豊臣秀長となる小一郎の前半生についての資料は少なく、妻の記録となるとさらに情報も限られる。本作では慶とされている妻の名前も、小一郎との出会いも、結婚した時期もわかっていないので、創作の部分が大きく、オリジナルに近い人物といえる。
例えば、秀長没後に妻は出家して慈雲院殿と呼ばれたことは記録に残っている。高野山の奥ノ院で慈雲院殿の生前供養が行われた際、彼女のために設けられた五輪塔には「慈雲院芳室紹慶」という名が記された。また、秀長の葬儀を仕切った禅僧の記録に「芳室慈雲院紹慶大禅定尼」という名前が確認されている。出家前の小一郎と結婚する頃の名前は不明だが、出家後の記録に「慶」という文字があるのだ。

小一郎の兄の藤吉郎、のちの豊臣秀吉(池松壮亮)と寧々(浜辺美波)の物語、夫婦の関係性については数多くの作品で取り上げられてきたが、史実としての情報もごく僅かで、手垢のついていない小一郎と慶の2人がどんな夫婦になっていくのか、これからの展開が気になるところでもある。
しかも、本作が大河ドラマ初出演となる吉岡里帆は、主演の仲野太賀とは2020年11月20日に公開された映画『泣く子はいねぇが』でも夫婦役だった。娘が生まれても、父親になる覚悟が持てないたすくと、そんな夫に愛想を尽かす妻のことね。確かに、とても仲の悪い夫婦役だった。
今回の場合、戦国時代特有の政略結婚であり、何より圧の強い信長の命により夫婦になった2人が、この先どのような関係を築いていくのだろうか。クールで暗く沈んだ表情をした慶が小一郎の優しさや素朴さ、懐の深さに気づいたときにどのような変化が起きるのか、その心の変化を吉岡里帆がどのように演じるのかが楽しみで仕方がない。
秀長となった小一郎が大和国(奈良県)の統治を任せられると、大和郡山城には正妻の慶も一緒に入り、病気になった秀長の病気平癒の祈祷を指示したという記録もあるようだ。出会いはどうであれ、たとえ政略結婚だったとしても時間をかけて、ゆっくり相手を知るうちに強い信頼関係を築く夫婦もいるだろう。小一郎にも忘れられない直との思い出、直の存在の大きさがあるように、慶にもまた辛い過去があったのかもしれない。悲しみを簡単に乗り越えるのは難しい。そんな繊細なやり取りを、演技派の2人なら見せてくれるに違いない。
ちなみに夫婦役ではないが、公開中の映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』でも共演している吉岡里帆と仲野太賀。時代を超えて、自由に、惚れ惚れするような最高の演技を『豊臣兄弟!』でも見せてほしい。
■放送情報
大河ドラマ『豊臣兄弟!』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/毎週土曜13:05〜再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送/毎週日曜18:00〜再放送
出演:仲野太賀、池松壮亮、吉岡里帆、浜辺美波、白石 聖、坂井真紀、宮澤エマ、倉沢杏菜
大東駿介、松下洸平、中島歩、要潤、山口馬木也、宮﨑あおい、小栗旬ほか
語り:安藤サクラ
脚本:八津弘幸
制作統括:松川博敬、堀内裕介
演出:渡邊良雄、渡辺哲也、田中正
音楽:木村秀彬
時代考証:黒田基樹、柴裕之
プロデューサー:高橋優香子、舟橋哲男、吉岡和彦(展開・プロモーション)、国友茜(広報)
写真提供=NHK






















