下野紘×武内駿輔、『北斗の拳』“ザコたち”の魅力語り合う 「ポップに死にすぎなんだよ」

第2クールの放送も決定した『北斗の拳』のスピンオフコメディアニメ『北斗の拳 拳王軍ザコたちの挽歌』(以下、『ザコ挽』)第1クール放送終了直後の4月からは、本編の正当リメイクとなるアニメ『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』(以下、『北斗の拳』)が始動する。今回はそれぞれの主人公、ノブとケンシロウを演じる下野紘と武内駿輔の異色対談が実現した。
原作への深いリスペクトを持つ武内が語る「断末魔」の演技論から、原作に馴染みがなかった下野だからこそ表現できたノブの新鮮なツッコミ、そして過酷な世紀末を生き抜くための「食糧問題」をめぐるユーモア溢れるやり取りまで、シリアスと笑いが絶妙に交錯しながら“ザコたち”の行く末について語り合った。
『北斗の拳』のギャグは難しい

ーー『ザコ挽』が第1クールを終え、『北斗の拳』の放送がいよいよ始まりますね。
下野紘(以下、下野):武内くんのケンシロウの声はまだちゃんと聞いていないんだけど、「『ザコ挽』のあとで『北斗の拳』始まるんだ」と思ったら、「あ、こっちは前座でよかったな」って気持ちで……。
武内駿輔(以下、武内):いやいや、等しく重要な作品ですよ。なんなら『ザコ挽』が本編で、『ザコ挽』がどういう話なのかを知るためにその後『北斗の拳』を観るんです。
下野:前座でいいでしょ(笑)! どう考えたって前座でしょ(笑)! だってさ、『ザコ挽』が先に放送されたわけじゃん。そのあと視聴者は『北斗の拳』も観るじゃん。そのときに、もしかしたら『北斗の拳』を初めて観た人は「あれ? こいつこの後やられるのか……」って、ザコが出てくるたびに『ザコ挽』がよぎってちょっとおもしろくなっちゃうよ。

武内:でもアニメーションのクオリティがすごく高かったですよね。モーションコミックでもないし、北斗本編とはまた違った新しい手法を取り入れてて、個性豊かなキャラ達が動いていておもしろかったです。
下野:観ていて楽しかったですよね。あれを子供たちが観るのかもしれないと思うとちょっと心配するけど。
武内:『北斗の拳』はまだちょっと観せられないなっていう子供たちには、まず『ザコ挽』を。
下野:いや、『ザコ挽』もヤベェんだって(笑)。原作の『北斗の拳』と『ザコ挽』の漫画のクオリティをそのまま映像にしているから、結構グロいんです。お話としてはポップなんだけど、ポップに死にすぎなんだよ(笑)。もちろんそれが当たり前の世界ですよっていうコメディなので、本当にいろいろな人たちに観てもらえたら嬉しいですけれども。

——下野さん演じるノブの声があることで、コメディとして楽しめたなと思います。
下野:意外とこいつらかわいいんですよ。現場も『北斗の拳』好きの男だらけだったから楽しかったですし。
武内:収録はみなさん揃ってやられていたんですか?
下野:それが掛け合いは最初のほうだけで、後はほとんど全部俺が先抜き(特定のキャストだけ先に収録する)だった。本当は相手役の声を聞きながらやりたかったよ。ツッコミだけ先となると難しくて。『北斗』オタクがたくさんいるから「こういうアドリブ入れていいですか?」みたいな提案も行き交っていたけど、採用されなかったアドリブもたくさんあったと思う。
武内:僕のほうもやっぱり同じように男性キャストが多くてすごく楽しかったんですが、なんといいますか……、和気あいあいとした雰囲気もありつつ、アフレコ直前になるとみなさん“世紀末”の世界観を再現しなければいけないので、その世界観に入り込むための時間があったような気がします。たとえばケンシロウにやられるザコにしても、みんな「今日はどうやって死ぬか」を真剣に考えていて。
下野:みんなそこを考えるよね。
武内:これが難しくて、主張しすぎても不自然になる。彼らも死ぬために生きてるわけではないじゃないですか。『北斗の拳』はやはりファンの方にとっても演者にとっても、すでにイメージが出来上がっているので、どうしてもゴールを決めてかかって、そこに向かっていく芝居になりかねないんですが、“唐突に死ぬ感”は残さなきゃいけない。「あべし」みたいな断末魔のセリフは今作でも出てきますが……。

下野:1テイクではなかなか決まらないよね。
武内:「それを言ってやろう」と考えてしまうと「“あべし”って言いたいだけじゃん」という印象になりかねない。その「あべし」という言葉にしても、一文字ずつ全部立てて言うのか、もっと素早く一音くらいで言うのか、いろいろなことが想像できるなかで、どれが印象的か、ザコたちの悲哀がどのくらい入るか……と考えていくと、意外と一筋縄ではいかないですよね。
下野:そこにリアリティも必要だからね。

武内:わざとらしさが入ってしまうと、ちょっと冷めるんですよね。あとは何気ないシーンでもファンの間でおもしろがられている死に方みたいな場面もすごく多いと思うので、その期待値と作り手側とのギャップをどう擦り合わせるかといったことはすごく考えながら演じていました。『ザコ挽』みたいなギャグって意外と難しくないですか?
下野:難しい。茶化してしまうとやっぱり面白くないんですよね。狙ったら狙ったで面白くなくなっちゃうし、すごく悩みます。後半になればキャラクターの表情や間合いに慣れてくるんだけど、一番最初は他のキャラクターがどういう間合いなのかわからない。最初は「初めて見ることなので恐怖してください」とディレクションを受けましたが、ただその恐怖もやりすぎるとツッコミじゃなくなっちゃうし、「いい塩梅でお願いします」と言われて、なかなか大変だったなと。
武内:でも本編を観ていてすごく自然だったので、下野さんのツッコミのほうが先だったんだって今知って驚きました。
下野:全部想像しながら、「もし同じ場にいたらきっとこういうふうにするだろうな」と思いながら演じています。いろいろな現場を経験して、基本的に外国映画の吹き替えをメインでやってきた子たちが多かったし、中にはものすごく若い新人の子もいたけど、彼らならきっと大丈夫、こういうふうに来るだろうって予測していました。





















