草彅剛のすべてを“あり”にする表現力 『フードファイト』が“伝説のドラマ”になった理由

懐かしいのに新鮮――そう感じた視聴者は多いはずだ。26年ぶりに配信が実現した『フードファイト』(日本テレビ系)シリーズ。あのころとはテレビを楽しむスタイルも、そこに求められる倫理観も大きく異なっているにもかかわらず、「やっぱり面白い」と思わずにはいられない。
配信スタート時、主演の草彅剛も「時が経っても色褪せない魅力が詰まったドラマです。全部が注目ポイントです!」と語っていたが、四半世紀を経た今観ても、現代のエンタメにも通じる要素がすでに詰め込まれている。
社会的弱者が厳しい運命から這い上がるデスゲームドラマ
「フードファイト」とは、政財界の大物だけが参加できる闇の大食い賭博ゲームのこと。社会的弱者である青年が、一発逆転を賭けてデスゲームに挑戦するというのは、最近でも人気のジャンルだ。そこに、野島伸司が得意とする、人間の影の部分をえぐるような視線が加わることで、本作が“伝説”と語られるのも頷ける。
草彅演じる主人公の満は、表向きは大手食品会社・宮園総合食品のオフィスビルを担当する下請けの清掃員。だが、その地下で行なわれるフードファイトの無敵のチャンプという裏の顔を持つ。満は幼い頃に孤児院の「つくし園」で育ち、その家庭環境ゆえにいじめを受けながら生きてきた。友だちと呼べるのは、九官鳥の九太郎(声:木村拓哉)だけだった。清掃員をしているというのも、差別ゆえに採用のチャンスに恵まれなかったという背景を持つ。
そんな厳しい運命を生きながら、人当たりのいい気さくな青年に育ったのは、園長の三好(八千草薫)の愛情ゆえ。その恩返しをするべく、満はアウトローなフードファイトに出場し続ける。どんなに好条件で八百長を持ちかけられても、決して屈しないのは、賞金をすべて「つくし園」に匿名寄付しているからだ。
自分が、そして子どもたちが抱える怒り、悲しみ、寂しさ、痛みを力に変えて、目の前に出された食材を口に放り込む。自分の欲よりも誰かのために挑む満が、多額の金を賭ける者たちの欲すら食べ尽くしていくようだ。社会的に弱者であるはずの満が、真の強さを示すかのようにこう言い放つのだ。「俺の胃袋は宇宙だ」と。その展開が痛快でならない。





















