興収で読む北米映画トレンド
『私がビーバーになる時』北米V2 アカデミー主演女優賞『ハムネット』世界興収1億ドル突破

年に一度の“映画の祭典”、アカデミー賞の授賞式が3月15日(現地時間)に開催された。『ワン・バトル・アフター・アナザー』が作品賞、監督賞など最多6冠を受賞したが、本連載「興収で読む北米映画トレンド」として興味深いのは、ジェシー・バックリーが主演女優賞に輝いた『ハムネット』だ。
2025年11月26日に北米公開された『ハムネット』は、授賞式当日の3月15日に全世界興行収入1億ドルを突破。当初は小規模に興行をスタートしたが、北米では1月23日に1996館の拡大公開に踏み切り、北米興収は2413万ドルとなった。公開17週目に突入してもなお息の長い上映が続いており、オスカー効果にも期待できそうだ。

本作は海外市場の興行収入が全体のおよそ4分の3を占めており、そのうちウィリアム・シェイクスピア作品の本場であるイギリスでは北米をしのぐ2530万ドルを記録した。
主人公アグネス(ジェシー・バックリー)と、夫で劇作家のウィリアム(ポール・メスカル)たち家族が経験する悲劇と喪失を、名作戯曲『ハムレット』の誕生とともに描いた人間ドラマ。日本では4月10日に公開される。
ハリウッドの大手スタジオはアカデミー賞の週末に話題作を投入することはせず、今週末もその傾向は変わらない。3月13日~15日の北米映画ランキングは、ディズニー&ピクサー最新作『私がビーバーになる時』が2週連続No.1を獲得した。
週末3日間の興行収入は2850万ドルで、下落率は前週のオープニング成績4600万ドルからわずかマイナス37%という好記録。公開後10日間の全世界興行収入は1億6470万ドルで、北米興収は8680万ドル、海外興収は7790万ドルとなった。

本作はハリウッドのオリジナルアニメーション映画として、『リメンバー・ミー』(2017年)以来の大ヒット路線をばく進中。2026年のアニメーション映画では、今週第5位のソニー・ピクチャーズ作品『GOAT(原題)』を超えて年間最高興収を記録し、世界興収では2026年のアメリカ映画のなかでも指折りの成績となっている。
ヒットの理由は、ファミリー層の心をつかむだけでなく、一般観客や若年層をもピクサー映画の客席に呼び戻したこと。Rotten Tomatoesで批評家スコア93%・観客スコア94%という数字が示す通り、圧倒的な口コミが興行を支えたとみられる。北米では4月1日公開の『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』まではライバル不在、この勢いはしばらく続きそうだ。
その一方、同じく公開2週目の『ザ・ブライド!』は、前週の第3位から第6位までランクダウン。週末興収は211万ドルで、前週の730万ドルからマイナス70.1%という大幅下落となった。製作費8000万~9000万ドル(推定)に対し、北米興収は1133万ドル、世界興収は2697万ドルと伸び悩んでいる。

主演は『ハムネット』でオスカーを射止めたジェシー・バックリー、配給は『ワン・バトル・アフター・アナザー』と『罪人たち』がアカデミー賞を席巻したワーナー・ブラザースだが、本作は想定外の結果というほかないだろう。共演はクリスチャン・ベール、アネット・ベニング、ペネロペ・クルス、ジェイク・ギレンホールと豪華布陣だ。日本公開は4月3日。





















