松田龍平の圧倒的な実存感 『探偵さん、リュック開いてますよ』は極上の“ぬるま湯ドラマ”だ

2026年の幕開けと共に始まった冬ドラマの中で、ひときわ異彩を放っている作品がある。金曜ナイトドラマ『探偵さん、リュック開いてますよ』(テレビ朝日系)だ。
昨今のドラマ界隈といえば、日曜劇場のようにお金も熱量もかけた重厚なサスペンスや、配信ドラマのように過激なバイオレンス、あるいは考察必須な伏線回収劇が花盛り。視聴者は画面にかじり付き、SNSでリアルタイムに感想を吐露し合う。そんなカロリーの高い視聴体験が主流となる中で、本作が提供するのは全く逆のベクトル……例えるなら熱々のサウナの後に浸かる「ぬるま湯」のような心地よさだ。
とはいえ忘れてはならないのが、これがテレビ朝日「金曜ナイトドラマ」枠だということ。『トリック』や『時効警察』をはじめ、数々の伝説的なオフビート作品を輩出してきたこの枠に脈々と受け継がれるのは、オトナが真面目にふざける遊び心のDNAだ。主演・松田龍平、監督・沖田修一というタッグは、その系譜における最新にして最強の回答であり、我々はただその歴史あるぬるま湯に身を任せればいい。

物語の舞台は、さびれた温泉街・西ヶ谷温泉。主人公の一ノ瀬洋輔(松田龍平)は、廃業した温泉宿ゆらぎやに住む探偵兼発明家だ。悪口を燃料にして走るサスティナブル(?)な乗り物「ドンソク」や、通常の2.5倍のスピードで山道を走れる「ニュー山村バランス」、口の中を自動で掃除してくれるらしいのだが、猛烈なくすぐったさに耐えなければならない「口ルンバ」など、シュールすぎる発明品を駆使して、事件を解決するどころか、斜め上の方向へと物語を牽引していく。

この奇妙な発明家を取り巻く住人たちもまた、一筋縄ではいかない面々ばかり。洋輔の幼なじみで、事あるごとに「ゆらぎや」に顔を出す清水(大倉孝二)と室町(水澤紳吾)、異常に口が悪いコンビニの看板娘あおい(髙橋ひかる)、そして警察もお手上げの難事件(?)を洋輔に丸投げしてくるベテラン刑事・春藤慶太郎(光石研)。
そんな浮世離れした異空間に迷い込んだのが、田舎暮らし系動画配信者・南香澄(片山友希)。再生数稼ぎのためにこの町のカオスを利用しようと目論む現代っ子の彼女が、西ヶ谷温泉の住人たちと妙に波長が合い、いつの間にかその輪に溶け込んでしまっているのが微笑ましい。

洋輔のもとに持ち込まれる依頼は、「松茸泥棒の捜索」から「地底人探し」、果ては「戦国時代へのタイムスリップ」まで、荒唐無稽なものばかり。一見すると重大事件のように見えるものも、洋輔たちが向き合うと、それらはすべて「ちょっと面倒な日常」へと変換されてしまうのだ。























