YouTuberの自主制作映画が北米で異例のヒット 『HELP/復讐島』『メラニア』と大混戦

YouTuberの自主制作映画が北米で異例ヒット

 第3位『メラニア』は、北米1778館で週末興収704万ドルを記録。音楽やコンサート映画を除くドキュメンタリー映画としては非常に優れた滑り出しで、事前に予測されていた300万~500万ドルを大幅に上回った。

 2025年の大統領就任式までの20日間、メラニア・トランプに密着取材した本作は、2017年の性加害疑惑を受けて事実上の引退状態にあったブレット・ラトナー監督の復帰作でもある。Amazonは本作を4000万ドルで購入し、広報・宣伝費に3500万ドルを投入。ドキュメンタリーとしては屈指の高予算映画となった。

『メラニア』Photo Credits: Regine Mahaux/Amazon MGM Studios Muse Films/Amazon MGM Studios

 早くからメディアやジャーナリストからの反発もあった『メラニア』だが、Amazonマネーを投入した大規模なプロモーションと、ドナルド・トランプ大統領自身による後押しもあり、本国では一般の注目度が高かった。一部のメディアは「絶対に集客できない」と予測し、週末興収100万~300万ドルという予想も広がっていたが、蓋を開ければ結果は上々だ。

 Rotten Tomatoesでは批評家スコア10%と低評価だが、観客スコアは99%と大絶賛。CinemaScoreでも「A」評価を得ている。ただし、これは批評家と観客の乖離ではなくきわめて政治的な結果と見るべきだろう。ホワイトハウスの支援団体も宣伝活動に尽力し、高齢の女性にアプローチした結果、観客の7割以上が女性、年代別では7割が55歳以上という結果を得ていた。また大都市以外では、大統領の支持率が高い地域ほど興行収入も大きかったという。

 なぜAmazonが本作に7500万ドルを投じたのかは不明。政権への接近を図るため、あるいはビジネスの可能性を期待されたためではないかと推測や批判が広がっているが、いずれにせよ、Amazonにとってこれがさほど大きな金額ではないことは確かだ。

『メラニア』Photo Credits: Regine Mahaux/Amazon MGM Studios Muse Films/Amazon MGM Studios

 劇場興行で黒字にならなくとも、Prime Videoへの加入者を増やせる見込みはある。Varietyによると、Amazonは有利なライセンス契約を結んでおり、Prime Videoでの配信時にコストの一部を回収できる計画。今後、ドキュメンタリーシリーズとして再構成されたものも配信される予定だ。日本でも劇場公開中だが、今後の配信スケジュールは不明。

 そのほか今週は、ジェイソン・ステイサム主演のアクションスリラー『Shelter(原題)』も第5位に初登場。北米2726館で週末興収550万ドルと、製作費5000万ドルの作品としてはかなり厳しいスタートとなった。なお、前週1位の『MERCY/マーシー AI裁判』は公開2週目にして第7位まで転落している。

『MERCY/マーシー AI裁判』

 前週末は大寒波と大雪の影響で多くの映画館が休業したため、今週の北米市場は前週比プラス83%と好調だった(前年比ではマイナス5%)。1月の興行収入は6億6060万ドルで、前年比プラス12%と同じく順調。今後の大作ラッシュに期待がかかる。

北米映画興行ランキング(1月30日~2月1日)

1.『HELP/復讐島』(初登場)
2000万ドル/3475館/累計2000万ドル/1週/20世紀スタジオ

2.『Iron Lung(原題)』(初登場)
1780万ドル/3015館/累計1780万ドル/1週/Markiplier

3.『メラニア』(初登場)
704万ドル/1778館/累計704万ドル/1週/Amazon・MGM

4.『ズートピア2』(↓前週3位)
580万ドル(+9.4%)/2880館(-50館)/累計4億895万ドル/10週/ディズニー

5.『Shelter(原題)』(初登場)
550万ドル/2726館/累計550万ドル/1週/Black Bear Pictures

6.『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』(↓前週2位)
550万ドル(-14.2%)/2800館(-350館)/累計3億8612万ドル/7週/20世紀スタジオ

7. 『MERCY/マーシー AI裁判』(↓前週1位)
473万ドル(-56.2%)/3468館/累計1940万ドル/2週/Amazon・MGM

8.『The Housemaid(原題)』(↓前週4位)
350万ドル(-11.2%)/2603館(-404館)/累計1億2068万ドル/7週/ライオンズゲート

9.『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』(↓前週6位)
291万ドル(-17.8%)/1703館(-318館)/累計9087万ドル/7週/A24

10.『28年後... 白骨の神殿』(↓前週6位)
160万ドル(-53.3%)/2042館(-1464館)/累計2365万ドル/3週/ソニー

(※Box Office Mojo、Deadline調べ。データは2026年2月2日未明時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります)

参照
https://www.boxofficemojo.com/weekend/2026W05/
https://variety.com/2026/film/box-office/melania-documentary-box-office-strong-opening-weekend-send-help-1236645970/
https://variety.com/2026/film/features/markiplier-iron-lung-4000-screens-fan-demand-1236641653/
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/melania-box-office-comes-in-third-1236491295/
https://deadline.com/2026/02/box-office-iron-lung-send-help-melania-shelter-1236703378/

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