富野由悠季の“脱ガンダム”の歴史と挫折 ペーネロペーはなぜ“ガンダム”になったのか

富野由悠季の“脱ガンダム”の歴史と挫折

 1月30日に劇場公開される『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』。再びΞ(クスィー)ガンダムをはじめ『閃光のハサウェイ』シリーズ特有の、個性的なMSの活躍が、大スクリーンで観られることに期待が高まっている。

 そんな『閃光のハサウェイ』のライバル機といえば、レーン・エイムが駆るペーネロペーだ。ワイバーンのような、ガンダムらしからぬ仰々しいフォルムを持つ機体だが、設定ではオデュッセウスガンダムにフライトユニットを装備した形態とされている。そのため、一目では分かりにくいが、正統なガンダムの系譜にある機体だ。

 しかし、ペーネロペーが初めて登場した小説版では、本機はガンダムとして扱われていなかった。事実、小説上巻ではペーネロペーについて「設計思想にはガンダム系MSの名残がある」と記載されており、あくまでガンダム系MSの名残がある機体として扱われていた。デザインをした森木靖泰氏も2021年に行われたトークイベント(「ハサウェイスタッフ反省会」)にて、「Ξについてはガンダムの延長線。ペーネロペーについては明らかに違うものとして描いている」と語っている。

 ただ、2000年に発売された『SDガンダム GGENERATION-F』にて登場した際、オデュッセウスガンダムの設定が追加され、ペーネロペーはガンダムの仲間入りを果たした。そして、2021年から展開されている劇場版でも、同様にペーネロペーをガンダムとして扱っている。その証拠に、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ メカニック&ワールド』(双葉社)にてメカニカルスーパーバイザーの玄馬宣彦が、劇場版のΞが「脱ガンダム」を目指しているのに対して、ペーネロペーは「連邦製の正式なガンダム」をコンセプトとしていると語っていた。

 それに伴い、小説版と劇場版では、ペーネロペーに関連したセリフの違いがいくつか見られる。例えば、ガウマンの「マフティーだって新型を手に入れることができる」は「ガンダムを手に入れられる」に。レーンの「ペーネロペーのコピーまで持ち出すのか」は「ガンダムのコピーまで持ち出すのか」へ変更されていた。また、作中でペーネロペーの開発に携わったケネスも、「俺が赴任前に送り込んだガンダムだ」と明確に言及している。

 このように、2000年以降はペーネロペーをガンダムとして扱うのが主流となっている。では、逆に登場当初、なぜペーネロペーはガンダムとして扱われていなかったのか? それには『閃光のハサウェイ』をはじめ、富野由悠季監督が1980年代後半から1990年代前半にかけて描いていた、小説作品で見られる設定が関係している。

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