宇野維正の映画興行分析
『BTTF』リバイバルヒットの一方で、トップ10に実写の新作洋画は3週連続ゼロの現実

12月第3週の動員ランキングは、『ズートピア2』が週末3日間で動員116万1000人、興収16億2400万円をあげて2週連続でぶっちぎりの1位。前週との興収比は86%という、ロングヒット確実の異例の高推移。公開から10日間で早くも興収42億8300万円を記録していて、このまま正月興行においても間違いなく主役となるだろう。
公開初週から3週連続2位の『栄光のバックホーム』は、公開から17日間の興収が8億9500万円。ほぼ新人俳優(松谷鷹也)の初主演作ということもあってメディアでの露出は限定的で、ネットでもそこまで話題になっているわけではないが、2週続けての高推移はリアル口コミが効いている証拠だろう。幻冬舎フィルム第一回作品として製作された本作だが、新しいチャレンジがいきなり実を結んだことに。
3位には、1985年に公開されたお馴染み『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の公開40周年限定上映がランクイン。オープニング3日間の動員は8万6000人、興収は1億9800万円。劇場では若年層の観客も目立ち、IMAXや4DXでも上映されていて、昨今のリバイバル上映ブーム、ラージフォーマット上映ブームの波にうまくのったかたちだ。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズは各地域で10年前の公開30周年以降、度々再上映興行が催されてきた(2015年は『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』でタイムトラベルをした時代でもあった)。ちょうどコロナ禍と重なった35周年の2020年7月には、同時期の新作公開がほぼなかったこともあって北米でもボックスオフィスで4位を記録することもあったが、今回のように平常時の日本で初登場3位というのは異例中の異例だろう。ランキングを見渡せばわかるように実写外国映画はトップ10にこの一作だけ。そもそも前週まで2週連続で実写外国映画はトップ10にゼロで、ようやくランクインしたのが40年前の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ということになる。
リバイバル上映のヒットは外国映画の観客の裾野を広げる意味でも今後さらに重要になってくるだろうし、トップ10にこそ一度も入っていないものの既に興収2億円を突破している『落下の王国 4Kデジタルリマスター版』のヒットのような事件も起こっているが、新作がスルーされての『バック・トゥ・ザ・フューチャー』への歓迎ぶりには少々複雑な気持ちになってしまう。
■公開情報
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』公開40周年限定上映
IMAX/4DXにて限定上映
出演:マイケル・J・フォックス(吹替:三ツ矢雄二)、クリストファー・ロイド(吹替:穂積隆信)、クローディア・ウェルズ(吹替:佐々木優子)、リー・トンプソン(吹替:高島雅羅)、クリスピン・グローヴァー(吹替:古川登志夫)、トーマス・F・ウィルソン(吹替:玄田哲章)
監督:ロバート・ゼメキス
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:ロバート・ゼメキス、ボブ・ゲイル
撮影:ディーン・カンディ
音楽:アラン・シルヴェストリ
配給:東宝東和
原題:Back to the Future/アメリカ/1985年/PG-12/IMAX(字幕版)、4DX(字幕版・吹替版)/音声1 英語 5.1ch、サラウンド2 日本語モノラル/16:9 ビスタ/4K DCP/116分
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