『ひなぎく』4Kレストア版、2026年3月14日公開へ 60周年記念キービジュアル&予告編も

2026年に製作から60年、日本劇場公開から35年を迎えることを記念して、『ひなぎく』4Kレストア版が2026年3月14日よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開されることが決定。あわせて特別キービジュアルと予告編が公開された。
本作は、チェコ映画の先駆者であり、チェコ・ヌーヴェルヴァーグでも知られる女性監督ヴェラ・ヒティロヴァーが監督と脚本を務めた1966年製作の映画。ヒティロヴァーは監督デビューとなった中編2作『天井』と『袋いっぱいの蚤』が国際的に注目されるが、『ひなぎく』では食べ物を粗末に扱う描写が反体制的だと国会で糾弾され、上映禁止の危機に瀕した。作家のミラン・クンデラをはじめ多くの表現者や市民が作品を擁護し、『ひなぎく』の上映は許可されるが、民主化運動「プラハの春」が1968年にソ連軍によって弾圧されたことでヒティロヴァーは1969年から1976年まで、7年間の活動停止に追い込まれた。
主人公は“マリエ1”と“マリエ2”という2人の女の子。人形の真似をしたり、姉妹と偽って男たちをだまして食事をおごらせたり、牛乳風呂に入ったり、あらゆるものをちょん切ったり……。自由気ままに悪ふざけを楽しむ様子が、色ズレやカラーリング、実験的な効果音や光学処理など、あらゆる映画的な手法を用いて描かれる。
主人公マリエ1と2を演じたのは、オーディションで選ばれた素人のイトカ・ツェルホヴァーとイヴァナ・カルバノヴァー。そのほかの出演者も、ほとんどが作曲家や衣装デザイナーなどの非職業俳優が演じている。監督の夫でもあるヤロスラフ・クチェラが撮影監督と美術を担い、著名な舞台美術家であり、芸術監督として多くの映画作品で活躍したエステル・クルンバホヴァーが共同脚本と美術、衣装を担当している。
日本では1991年に吉祥寺バウスシアターで初めて正式に劇場公開され、徐々に口コミが広がり満席が続出、6週間のロングラン上映となった。
あわせて、60周年記念特別キービジュアルと、4Kレストア版の素材で制作された予告編も公開された。
さらに、本作をこよなく愛する画家のヒグチユウコと、映画批評の宮代大嗣よりコメントが到着。ヒグチは「うつくしく愛らしく無垢であるようで、勝手気ままな少女たちの映像美は何度見ても目を奪われる」、宮代は「『ひなぎく』において破壊とは、反抗であり、解放であり、消費であり、創造であり、何より喜びである」と4Kレストア版の公開を祝福するコメントを寄せている。
また、ポストカード付きの前売り券2種(1回券1,600円/ペア券2,400円ともに税込)が、シアター・イメージフォーラム、メイジャー・ネット通販にて2026年1月9日より発売開始される。『ひなぎく』オフィシャルグッズとして、日本初となるTシャツとクリアファイルの発売も決定。Tシャツは2026年1月からメールでの先行予約が開始となる。
コメント
ヒグチユウコ(画家)
うつくしく愛らしく無垢であるようで、勝手気ままな少女たちの映像美は何度見ても目を奪われる。単に綺麗な画面ならば心に残らないものですが、この作品の訳のわからない風刺のような暗示的結末によって普遍的な魅力を放ち続けるのでしょう。
宮代大嗣(映画批評)
世界が堕落しているなら、私たちも堕落しよう。『ひなぎく』において破壊とは、反抗であり、解放であり、消費であり、創造であり、何より喜びである。マリエとマリエは母でも妻でも娘でもない。女性の外見を持った、制御不能なマリオネットだ。空前絶後のパンキッシュな映画である。二人はあらゆる生産性や合理性に中指を立てる。この映画に熱狂する観客は、自分の胸の中に反逆のマリオネットを発見することだろう。コントロールを失った世界の快楽に陶酔することだろう。『ひなぎく』はエレガントに、毅然とした態度でオーディエンスに呼びかける。何者もあなたの若さを踏みにじることはできない。何者もあなたの喜びを踏みにじることはできない。
■公開情報
『ひなぎく』4Kレストア版
2026年3月14日(金)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
出演:イトカ・ツェルホヴァー、イヴァナ・カルバノヴァーほか
監督:ヴェラ・ヒティロヴァー
原案:ヴェラ・ヒティロヴァー、パヴェル・ユラーチェク
脚本:ヴェラ・ヒティロヴァー、エステル・クルンバホヴァー
撮影:ヤロスラフ・クチェラ
美術:エステル・クルンバホヴァー、ヤロスラフ・クチェラ
衣装:エステル・クルンバホヴァー
音楽:イジー・シュスト、イジー・シュリトゥル
配給:チェスキー・ケー
1966年/カラー/チェコスロヴァキア//チェコ語/77分/原題:Sedmikrásky
©Czech audiovisual fund, source: NFA



































