呉美保監督「今観ても新しいと思える感覚」 『ヤンヤン 夏の想い出』4Kレストア版を絶賛

12月5日にBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下にて、『ヤンヤン 夏の想い出』4Kレストア版のアフタートーク付き特別先行上映会が開催され、映画監督の呉美保と映画ライター・編集者の月永理絵が登壇した。
『ヤンヤン 夏の想い出』は、2007年に亡くなった台湾ニューシネマの巨匠エドワード・ヤン監督の遺作であり集大成となる作品。少年ヤンヤンとその家族が経験するひと夏の出来事を、台北と日本を舞台に描く。2000年の第53回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞し、世界中の映画人から高い評価を受けている。公開から四半世紀を経て4Kレストア化され、12月19日より全国公開される。
エドワード・ヤン監督作品の中でも本作が一番好きだという呉監督。「3時間近くとても静かな映画なのに一瞬で終わったように感じられて。ビックリしました」と4Kレストア版の感想を語った。月永も「年を経てから観たことで初めて再発見できることもあるんだなと思いました」と、時を経て改めて感じた感動を口にした。
呉監督は特に、ヤンヤンの父・NJが初恋の相手シェリーに再会し、「愛していた人は君だけだ」と告げるシーンに感情を揺さぶられたという。「昔と違って、わたしも一応既婚者なので。まさかの妻の立場で観てしまった」と、自身の変化によって視点が変わったことを明かし、「後半はもう“怒り”ベースで観ていました」と会場を笑わせた。
また、呉監督は自身の最新作『ふつうの子ども』の制作において、本作から影響を受けたことも告白。「子どもを通して社会を描くという意味でも、目指していたところだったので。計らずも私の指針になっていました」と語った。
最後に呉監督は、「エドワード・ヤン監督の映画は本当に新しく感じられる。今観ても新しいと思える感覚であり、尚かつ普遍的なものなんです」と締めくくり、本作の魅力を改めてアピールした。

■公開情報
『ヤンヤン 夏の想い出 4Kレストア版』
2025年12月19日(金)より、Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下、シネスイッチ銀座、109シネマズプレミアム新宿ほか全国公開
出演:ウー・ニェンツェン、イッセー尾形、エイレン・チン、ケリー・リー、ジョナサン・チャン
監督・脚本:エドワード・ヤン
撮影:ヤン・ウェイハン
編集:チェン・ポーウェン
録音:ドゥー・ドゥーツ
美術・音楽:ペン・カイリー
配給:ポニーキャニオン
2000年/台湾・日本合作映画/中国語・日本語/カラー/173分/原題:YIYI/英題:YI YI: A ONE AND A TWO
©1+2 Seisaku Iinkai
公式サイト:https://yi-yi.jp/





















