『小さい頃は、神様がいて』家族の形が変わる節目の第9話 渉×あんのまだ断ち切れない思い

『小さい頃は、神様がいて』断ち切れない思い

 フジテレビ木曜劇場『小さい頃は、神様がいて』第9話では、あん(仲間由紀恵)と渉(北村有起哉)がそれぞれの胸の内を確かめ合い、子どもたちもまた“親のこれから”を真剣に考える姿が描かれる。さらに、たそがれステイツの住人たちが自然と小倉家を支えていく様子も印象的で、家族の形が変わる節目の回となった。

 離婚の約束が公になってから、小倉家がむしろ家族らしい温かさを取り戻しているように見える。しかし、さとこ(阿川佐和子)の「今も離婚したい?」という率直な指摘に、あんもどこかうなずきながら「この先の人生では後悔すると思う」と本音を漏らす。あんには渉がかつて離婚の話を忘れていたことへの戸惑いが確かにあった。だが、それが離婚を決めた理由かと問われれば、そうではない。ただ、積み重なった時間の中で「そうするしかなかった」という感覚がじんわりと残っているだけなのだ。一方、慎一(草刈正雄)も渉に本当に離婚するつもりなのかと確認する。渉は、自分は別れたくないとしつつも、「あんがそうしたいなら、そうする」と話し、あんにとって大切だった約束を軽んじてきた自分なりの罪滅ぼしのようなものだと語る渉の言葉には、後悔と誠意が入り混じっていた。

 その夜、渉は家にある家具や日用品の選別をあんと一緒にしたいと提案し、ひとつひとつ思い出を語り合いながら仕分けたいと願うが、あんは苦笑するばかり。さらに、あんのスキンケアクリームを渉がこっそり使っていたことが発覚して小さな口論に発展しつつも、そのやり取りにはこれまでと変わらない夫婦の温度が流れていた。しかし、翌日はゆず(近藤華)の誕生日であり、2人が離婚を実行する日でもあった。

 奈央と志保は居酒屋で近況を語り合っていると、渉が合流し、キッチンカーの進捗を尋ねる。金銭面の不安は抱えつつも、専門家から助言を受けながら前に進もうとする2人。渉が「自分がたそがれハイツを出ればよかったと思ってないか」と尋ねると、2人は即座に否定し、「台風の日に渉さんが呼んでくれなかったら、こんなにいい人たちに出会えてなかった」と感謝を伝える。たそがれステイツで築かれた関係が、住人たちにとってどれほど大きな支えになっているかが伝わる場面だった。

 そして、ゆずの誕生日当日。ゆずは、自身の映画作品のコンクール発表が誕生日と重なることを不安そうに語り、しかも審査員が天敵とも言える教授であるため落選を確信し、せっかくの一日が台無しになるのではと怯えていたが、結果は落選だったものの、ゆずの天敵だった教授から高評価を受けていたことが判明し、小倉家は喜びに包まれる。ゆずと順(小瀧望)は、離婚という節目を迎える渉とあんにホールケーキを用意し、「今日で子育て卒業」と2人に感謝を伝える。そして明日からは「渉さん」「あんさん」と名前で呼ぶことを決め、親子関係を新しい形に置き直すように喜び合うのだった。

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