『呪術廻戦』乙骨憂太×緒方恵美の説得力 「死滅回游 先行上映」で見せた圧倒的進化

『呪術廻戦』“乙骨憂太×緒方恵美”の説得力

 緒方の演じる乙骨に関しては、気弱で内気な少年という共通点から、『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジを連想する人が多いだろう。

『劇場版 呪術廻戦 0』-復活上映-本予告|主題歌:King Gnu「一途」|10月17日(金)公開

 緒方が抜擢された経緯について、『劇場版 呪術廻戦 0』の公式サイトでは、原作者の芥見下々が「中性的で、柔らかさ、優しさがあった上で、大きな感情の振れ幅・落差もある」と思い描いていたことがきっかけだと明かされていた。芥見のイメージに近い役者として緒方の名前が上がり、スタッフの満場一致を経てキャスティングされたという。(※2)

 芥見が『新世紀エヴァンゲリオン』に大きな影響を受けた作家ということを差し引いても、ここで想定されていたのは明らかに碇シンジ役で見せた演技だろう。普段はおどおどとした態度で、追い詰められた果てに感情を爆発させるという振れ幅の大きさは、『劇場版 呪術廻戦 0』における乙骨と大きく重なっている。

 とはいえ、緒方は他にも乙骨に近いキャラクターを多数演じてきた。たとえば東映版『遊☆戯☆王』の武藤遊戯や『めだかボックス』シリーズの球磨川禊などは、一見普通の少年に見えて実はその裏側に狂気を孕んでいるという二面性のある人物像だった。さらにいえば、そもそも代表作『幽☆遊☆白書』の蔵馬からして、やさしい声色と恐ろしい本性とのギャップが魅力的なキャラクターだったと言える。

 その意味で「死滅回游」での乙骨は、緒方のポテンシャルが最大限発揮されたキャラクターではないだろうか。虎杖と脹相、直哉の前に襲来し、「誰が虎杖君の何?」と威圧的な言葉でその場を制するところなどは、内に秘めた闇を滲ませるような迫力があり、緒方ならではの演技を堪能できるシーンとなっていたように思われる。

 もう1人の主人公として、『劇場版 呪術廻戦「渋谷事変 特別編集版」×「死滅回游 先行上映」』で強烈な存在感を発揮している乙骨。TVアニメ第3期『死滅回游 前編』ではさらなる活躍を見せてくれるはずなので、放送を楽しみに待ちたい。

参照
※1. https://realsound.jp/movie/2025/11/post-2222143.html
※2. https://jujutsukaisen-movie.jp/news/2021_0730.html

■公開情報
『劇場版 呪術廻戦「渋谷事変 特別編集版」×「死滅回游 先行上映」』
全国公開中
キャスト:榎木淳弥、内田雄馬、瀬戸麻沙美、津田健次郎、木村昴、中村悠一、櫻井孝宏、浪川大輔、島﨑信長、諏訪部順一、緒方恵美
原作:『呪術廻戦』芥見下々(集英社ジャンプコミックス刊)
監督:御所園翔太
シリーズ構成・脚本:瀬古浩司
美術監督:東潤一
色彩設計:松島英子
CGIプロデューサー:淡輪雄介
3DCGディレクター:石川大輔(モンスターズエッグ)
撮影監督:伊藤哲平
編集:柳圭介、ACE
音楽:照井順政
音楽プロデューサー:小林健樹
音響監督:えびなやすのり
音響制作:dugout
制作:MAPPA
製作:東宝、集英社、MAPPA、サムザップ、MBS
配給:東宝
©︎芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
IMAX劇場、MX4D&4DX上映劇場一覧:https://theater.toho.co.jp/toho_theaterlist/shibuyashimetsu.html

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