『呪術廻戦』乙骨憂太×緒方恵美の説得力 「死滅回游 先行上映」で見せた圧倒的進化

公開10日間で観客動員数74万人、興行収入11.2億円を突破するほどの大ヒットを記録している『劇場版 呪術廻戦「渋谷事変 特別編集版」×「死滅回游 先行上映」』(※1)。同作は2026年1月から放送されるTVアニメ第3期『死滅回游 前編』の一部を先行して視聴できる内容となっている。
そこで劇場に足を運んだ人々のあいだで話題を呼んでいるのが、乙骨憂太の存在だ。前日譚にあたる『劇場版 呪術廻戦 0』で主人公を務めた人物だが、今回はまったく違ったキャラクター性を発揮しており、そのギャップによって大きな魅力を生んでいる。
※本稿は『劇場版 呪術廻戦「渋谷事変 特別編集版」×「死滅回游 先行上映」』のネタバレを含みます。
乙骨は呪術師のなかでも数人しかいない特級術師の1人。元々は強力な怨霊と化した幼馴染みの少女・里香に呪われているとして、呪術界に秘匿死刑を定められていたが、五条悟の手引きで呪術高専に編入した。
『劇場版 呪術廻戦 0』は高専に入った当初の乙骨の姿が描かれているが、その性格は一言でいえば気弱で内気。里香の呪いで周囲を傷つけてしまうことを恐れていたため、一切他人と関わろうとせず、自ら死を望んでいたほどだ。また禪院真希からは初対面で「被害者ヅラ」をしながら「ずっと受け身で生きてきた」ことを見透かされ、手厳しい言葉を浴びせられていた。
しかし真希たちとの出会いや関わりを通して、“誰かに必要とされて生きたい”という気持ちを自覚。自らの力で呪いを祓うために急成長を遂げていき、最終的には夏油傑との死闘に至るのだった。
『呪術廻戦』本編における乙骨の再登場は、ここから約1年後のこと。「渋谷事変」直後の半壊した東京に現れ、少女を襲う巨大な呪霊を一閃してみせた。その姿におどおどしていた頃の面影は一切なく、いかにも特級術師らしい風格だ。

さらには呪術界の上層部にも毅然とした態度を示し、「虎杖悠仁は僕が殺します」と力強く宣言している。敵か味方か分からない謎めいたオーラを放っていることも、ピュアで腹芸のできなかった昔の乙骨からは到底想像が付かない。
そして「死滅回游」では虎杖悠仁と1対1で戦い、余裕たっぷりな態度を見せながら大暴れ。また虎杖たちの前に初めて現れるシーンでは、その呪力量によって虎杖のみならず脹相と禪院直哉をも震撼させており、“圧倒的な強者”としての振る舞いがすっかり板についていた。
もちろん乙骨は性格が変わったわけではなく、前日譚から順当に成長を遂げた先にあったのがこうした姿なのだろう。大切なものを守るため、躊躇なく自分の力を振るうようになったことがよく分かる。その一方で呪術界の上層部にハッタリをかましたり、直哉を威圧してみせたり、虎杖を騙したりと、意外な“キャラ変”をしているように見えるところも「死滅回游」での乙骨の魅力だ。
さらにそのキャラクター性を際立たせている要素として、声優・緒方恵美の演技にも触れないわけにはいかない。




















