神木隆之介が“脇役”で終わるはずがない! 『もしがく』を紐解く“鍵”としての蓬莱省吾

もうそろそろ佳境に入ってきてもよさそうなものだが、果たしてこれから物語がどう展開していくのか。どのように着地するのか、ほとんどイメージできないでいる。放送中のドラマ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(フジテレビ系/以下、『もしがく』)のことだ。
個人的に好きな作品なのだが、このままだと“名作入り”ならぬ“迷作入り”もあり得るかもしれない(それはそれで素敵なことだと思うのだが……)。物語はたしかに少しずつ前進しているものの、そろそろ大きな一手が必要な気がしている。もうそろそろ、蓬莱省吾の出番ではないだろうか。演じているのは神木隆之介である。

この『もしがく』とは、三谷幸喜が脚本を手がける青春群像劇だ。1984年の渋谷を舞台に、じつに個性豊かなキャラクターたちがドタバタ喜劇を繰り広げているところである。「八分坂」という架空の町に佇むWS劇場に、演劇青年の久部三成(菅田将暉)がやってきたことから物語ははじまった。ダンサーやお笑い芸人、劇場の用心棒、さらには警察官までをも擁する座組でシェイクスピア作品を上演し、一同はWS劇場の再建に挑んでいるのである。

本作を“ドタバタ喜劇”と称したが、これは文字通りの作品だ。テレビ番組のプロデューサーの引き抜きによって、座組の中核を担っていたお笑いコンビ「コントオブキングス」が解散することになったり、ヤクザ者のトロ(生田斗真)が乱入してはかき乱す。そして久部の暑苦しいほどの演劇愛はつねに爆発している。まさにドタバタ喜劇。そんなようだから、物語は少しずつしか進まない。ここでいよいよ、蓬莱省吾の活躍に期待したいのだ。





















