小栗旬の“恋愛ドラマ”をいつまでも観たい! 観客と物語の橋渡しの存在であり続ける独自性

小栗旬の“恋愛ドラマ”をいつまでも観たい

 小栗旬の魅力は、手の届かない演技派俳優、難解な作品ばかりを選ぶ俳優に決してならないことだ。そこに行きかけても途中で戻ってくるバランス感覚である。ハリウッドに行ったけど、すぐ日本に戻ってきたように。映画化もされた『信長協奏曲』(2014年/フジテレビ系)で現代の高校生が戦国時代にタイムスリップして織田信長になって、また現代に帰ってふつうのサラリーマンになるという役がこのうえなく似合うように。小栗旬はあくまで観客と物語の橋渡し的な存在でいる。自分の身近にも、こんなふうにやんちゃなふつうの男の子が、出世して立派になったねえといつでも目を細めて声をかけられるような人であることを守り続けている。これに似た先行例に妻夫木聡がいる。

小栗旬が『どうする家康』で“大河と大河の橋渡し” 「つなげる役割も果たせたのかな」

12月17日に最終回を迎えたNHK大河ドラマ『どうする家康』に出演した小栗旬よりコメントが寄せられた。  本作は、ひとりの弱き…

 また、社長でそれなりの俳優なのにフットワークがなんだかいい。大河ドラマ『どうする家康』(2023年)の最終回では特殊メイクで老人の天海和尚まで演じていた。今回の『匿名の恋人たち』にもそのフットワークのよさが好感度につながっているように感じる。また、恋愛ドラマもやってくれるんだと。こんなふうに、シゴデキだけど、女性には緊張して、でも誠実に見つめてくれる、理想の男子をいつまでも演じてくれるのだと。

 海外の視聴者が、彼のバックボーンを知らなくても、滲み出る素朴さで大人になっていった人物像を感じるだろう。ドラマのなかでは、肌も髪もツヤ感があったが、バラエティー番組や情報番組に出ると、それなりに40代のおじさん(すみません)で、そこはやっぱりスタッフの手も借りながらしっかり仕上げることができる才能を感じた。

 小栗旬は『花より男子』を本人はさほどやりたいと思っていなかったが、女性のマネージャーがやるべきだと強く推したことが大ブレイクのきっかけになったことは有名な話。だから、彼にとって、何年か1回は、原点である恋愛ものに回帰するのも悪くないだろう。もっと年齢を重ねても、老いらくの恋をチャーミングに演じてくれるかもしれない。

■配信情報
Netflixシリーズ『匿名の恋人たち』
Netflixにて世界独占配信中
出演:小栗旬、ハン・ヒョジュ、中村ゆり、成田凌、伊藤歩、伊勢志摩、東景一朗、 福田航也、秋田汐梨、秋谷郁甫、米本学仁、山口紗弥加、原田美枝子、梶芽衣子、奥田瑛二、赤西仁、佐藤浩市
原作:映画『Les Émotifs anonymes』
主題歌:KIM CHAEWON of LE SSERAFIM「告白」
監督:月川翔
脚本:キム・ジヒョン
脚本協力:岡田惠和
エグゼクティブプロデューサー:岡野真紀子(Netflix)
制作:イム・スンヨン
企画:パク・ソヨン
プロデューサー:キム・ヨンオン、チェ・ギヨン、キム・クンシル、永井拓郎、大崎真緒
制作プロダクション:YONG FILM
制作協力:RIKIプロジェクト
撮影:山田康介
製作:Netflix
照明:渡部嘉
録音:柳屋文彦
装飾:小山大次郎
編集:ヤン・ジンモ
音楽:ダルパラン
ラインプロデューサー:森徹
制作プロダクション:YONG FILM, YONGFILM JAPAN
制作協力:RIKIプロジェクト
製作:Netflix

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