『小さい頃は、神様がいて』“親が子を守り、子が親を救う”美しい回に 溢れ出すあんの後悔

フジテレビ木曜劇場『小さい頃は、神様がいて』第6話は、奈央(小野花梨)と志保(石井杏奈)、2人の出会いの記憶から幕を開ける。
ゆず(近藤華)は2階の奈央・志保カップルを題材にした映画を撮影中。人との距離感がわからず、子どもの頃は他人が怖かった志保と、笑顔で自分を守ってきた奈央。学区が違ったため幼いころはなかなか会えず、高校で再会したときも志保は声をかけられずにいた。そんな彼女を救ったのは、いつだって先に手を差し伸べる奈央だった。再会のきっかけも、交際を始めたのも、上京して同棲を始めたのも奈央がリードしてくれたからだった。いい出会いというものは、劇的な瞬間よりも、誰かがそっと差し伸べた小さな優しさから始まるのだと、2人の物語を聞いて思わされる。

しかし、夢だったキッチンカーの購入が難しいと知ると、ゆずの表情には影が差す。彼女が撮りたいのは現実に曇らされないハッピーエンド。けれど、現実はその願いとは少し違うところに落ちていく。

一方その頃、小倉家では渉(北村有起哉)が順(小瀧望)を誘っておでん屋へ。離婚について何も切り出さないまま、ただ楽しそうに食事をする渉。しかしあん(仲間由紀恵)は、順が幼いころから離婚の約束を知っていたと確信し、胸の奥が締めつけられるようなやるせなさを抱えていた。

その夜、渉と順、あんとゆずは、それぞれの場所で同じ記憶を思い返す。かつてゆずの学校行事で観た児童劇・ピーターパン。ある場面で渉は客席で号泣し、それを笑った周囲に対して、あんは毅然と「何がおかしいんですか!」と言い放ったのだった。小さな舞台で起きた、大きな家族の事件にしぎないかもしれない。でも、順はその時、母の勇気を誇りに思い、ゆずもまた観客に腹を立てていた。

1階では永島慎一(草刈正雄)とさとこ(阿川佐和子)が、凛(和智柚葉)と真(山本弓月)の育児疲れでソファに倒れ込む。片付ける気力もないまま、散らかったリビングで酒を酌み交わす姿は、ただのいい夫婦ではなく、長い後悔を抱えた大人の今を描いているようだ。翌朝、2人は学校へ向かう子どもたちをGPSで見守り、「いってらっしゃい」を噛みしめるように見送った。さらに微笑ましかったのは、「たそがれステイツ」の住人たちが同じようにGPSで凛と真の通学を一緒に見守っていた光景だ。悲しみを抱える家族を、建物全体でそっと支えているような温かさがあった。

その夜は順の提案でおでんパーティーが開かれ、再び三世帯が永島家に集まる。賑やかな空気の中で、渉がふとキッチンカーの話題を持ち出すと、お金が足りていないことがわかり、住人たちが出し合おうと申し出るが、奈央と志保は対等でいられなくなるからとやんわり断る。こんな話をしている間にも、あんの表情はどこか晴れない。たそがれハイツの住人たちはそんなあんを気にかけていた。
しばらく言い出せずにいたあんの代わりに、渉がそっと家族を集める。そして順に向け、「ずっとわかってたんじゃないか?」と、離婚の約束を知っていたかどうかを優しく問いかける。順は涙を浮かべながら「うん」と頷く。その瞬間、あんは抑えてきた後悔が溢れ、「ごめんなさい」と息子に謝る。順を“いい子でいさせてしまった”のは、自分だとずっと後悔していたあんは、ようやく言葉にすることができた。そんな母親の後悔を聞いた順は「大好きだよ、この家族が」とこれまで育ててくれたあんを励ます。そして空気を和ませようとしたのか、それともただの天然なのか、「結構いい男じゃね?」と呟く姿には、確かに渉の血が流れていると感じさせられた。

第6話は、“親が子を守り、子が親を救う”というこのドラマの本質を最も美しく描いた回だったのかもしれない。優しさはときに不器用で、ときにすれ違う。それでも、誰かのためを思った気持ちは、必ずどこかで巡り返ってくる。そんな人間のあたたかさを、そっと照らすエピソードだった。
■放送情報
『小さい頃は、神様がいて』
フジテレビ系にて、 毎週木曜22:00~22:54放送
出演者:北村有起哉、小野花梨、石井杏奈、小瀧望、近藤華、阿川佐和子、草刈正雄、仲間由紀恵
脚本:岡田惠和
主題歌:松任谷由実
音楽:フジモトヨシタカ
演出:酒井麻衣
プロデュース:田淵麻子
制作プロデュース:熊谷理恵、渡邉美咲
制作協力:大映テレビ
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
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