『羅小黒戦記2』日本アニメを揺るがす前作以上のクオリティ 社会派要素を王道展開に昇華

『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』の圧倒的パワー

そんな『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』の2年後を描いた続編となる『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』は、全てが進化し、さらに中国アニメパワーを感じさせるものとなっていた。アニメの国といわれる日本であっても警戒すべきレベルのクオリティだ。
前作は登場人物も少なく、世界観を拡張させるようなワードは飛び交っていたものの、壮大なスケールのストーリーの割には、全体的にこじんまりしていた。ところが今作では、キャラクター数も圧倒的に増加し、モブ的なキャラクターひとりひとりにもスピンオフが作れるほどの存在感があるほどに世界観を一気に広げてきたし、まだまだ途中経過に過ぎないように感じる。さらにメインとなる登場人物がほとんど男性だったことにも違和感があったのに対して、女性キャラクターが活躍する展開に。初登場となるルーイエ(鹿野)をもうひとりの主人公に設定し、女性ならではのしなやかなアクションシーンも追加されたことで、数少ない弱点だった部分も完全に補強されている。
ストーリーが王道というのは別に悪い点ではないが、あくまでファンタジーに留まっていた前作に比べると、政治的な部分も描かれており、“戦争がなぜ起きるのか”というリアルベースなテーマにより深く踏み込みながらもファンタジー要素もしっかりしているなど、ストーリーにおいても解像度が増していた。
そして、良かった点も進化していた。背景も描き込みが強くなっており、スピーディーでダイナミックなアクションシーンもさらにスケールアップ! とくに航空機の墜落を食い止めるシーンとクライマックスは、アニメだからこそできる表現がてんこ盛り状態。ダイナミックなアクションシーンでいえば、今年公開された『「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』や劇場版『チェンソーマン レゼ篇』などの日本アニメ映画も全然負けてないし、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(2023年)のように他国のレベルも年々増していっているし、油断していると、想定外だった国のアニメが市場に飛び出してくるかもしれないが、世界市場を目指すのであれば、アクションシーンは大きな評価基準となっているのは間違いないだろう。
■公開情報
『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』
全国公開中
出演:花澤香菜(シャオヘイ役)、宮野真守(ムゲン役)、悠木碧(ルーイエ役)、水瀬いのり(ナタ役)、多田野曜平(ユーディ役)、山路和弘(リンヤオ役)、石田彰(シームーズ役)、諏訪部順一(チーネン役)、チョー(キュウ爺役)、大塚芳忠(パンジン役)、榎木淳弥(甲役)、土屋神葉(乙役)
原作・監督:MTJJ
日本語版主題歌:Aimer「Little Bouquet」(SACRA MUSIC / Sony Music Labels Inc.)
配給:アニプレックス
©Beijing HMCH Anime Co.,Ltd
公式サイト:https://luoxiaohei-movie.com/
公式X(旧Twitter)@heicat_movie_jp






















