『ひらやすみ』の“平屋”は実在した! 100軒超から探し当てた奇跡のロケセットに潜入

『ひらやすみ』完全実写化の“平屋”に潜入

再現より「生活感」 原作のスピリットを宿す小物たち

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 それぞれの部屋に置かれた小物に目をやれば、ラジオ、ライト、輪ゴムに貼り絵など、原作ファンにはたまらないアイテムがずらり。たとえばキッチンの隅に置かれていたのは、見覚えのある殺虫剤。そのほか、パッケージが見えるように置かれているお菓子や調味料、なつみの部屋に並ぶ漫画の背表紙もすべて作り物だ。

「(キーとなるアイテムは)なるべく原作に近づけたいですよね。難しいものもありますが、必ず雰囲気は残したいと思っています」(松田)

 一方で、制作陣は「生活感を大切にしてほしい」と美術チームに思いを託した。

「漫画をそのまま再現するのではなく、実際にヒロトたちが“そこにいる”ようにしてほしい、とお願いしました。その結果、実写化したときに違和感があるものはあえて外したり、別の物を置いてくれたり。初めて見たときには、すべてが最高だなと感動しました」(大塚)

 坂部は「まったく同じにするわけではないけれど、ベースには原作のスピリットがある」といい、大塚氏も「だから安心して任せられる」と太鼓判。松田は「そこは絶対に曲げたくない、一番大事にしたいと思っていたところです」と説明し、その上で「ドラマはドラマの世界として楽しんでほしい」と原作ファンに呼びかけた。

大ベテランの装飾と美術監督のこだわり

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 本作で装飾を担うのは、湯澤幸夫。山田洋次作品など、数々の名作に携わってきた大ベテランで、松田も「湯澤さんと小道具の鶴岡久美さんは、2人とも明るい大先輩。おふたりが引っ張ってくれるので、大船に乗った気分です」と信頼を寄せる。

「物語のメインは若者ですが、昭和のセットが得意な湯澤さんがいるので、“おばあちゃんが住んでいた平屋”に説得力がありますよね。美術部は60代後半の湯澤さんが最年長で、下は23歳まで。なつみからおばあちゃん世代まで網羅していることが、このチームの強みだと思います」(大塚)

 実は、松田が連ドラの美術監督を務めるのは今回が初めて。出産後はCMを手掛ける機会が多かったといい、「長期の作品は、正直大変です」と笑顔で本音をこぼす。

 松田が美術セットを制作する上でこだわっているのは、演じる役者が「こういう場所で暮らすキャラクターなんだ」と感じられる空気作り。

「スタッフ、役者さんが一歩入ったときに、その世界の気持ちになれるようなセットにしたいと思っています。壁や床や小道具など、役者さん以外の背景に「今ここに在る」理由を与えること。時間経過や、役の性格や、歴史を設定することでその場の雰囲気が芝居の助けになる。そこまで作り込みたいですね」(松田)

 今回、平屋のオーナーである通称“お母さん”からは「撮影が終わっても、(作った壁などは)もとに戻さなくてもいい」と言われており、そのおかげで表現の幅がぐんと広がった。

 松田は、「お母さんは麺つゆ用に手作りの出汁を差し入れてくれたり、育てているスイカの成長を見せてくれたりと、優しくて温かい方なんです。近隣住民の方も含め、本当にみなさんのおかげでできた空間ですし、ここまで思い切って取り組めるのはやっぱり楽しいですね。役者さんやスタッフの『わぁ!』『すごい!』という声を聞くと、すごくうれしくなります」と充実感をにじませた。

 一つひとつの小道具や家具の配置まで、登場人物たちの暮らしが息づく『ひらやすみ』の平屋セット。丁寧に作られたその場所には、ハートフルな物語にふさわしい美術チームの愛情が詰まっていた。

■放送情報
『ひらやすみ』
NHK総合にて、毎週月曜から木曜22:45~23:00放送
出演:岡山天音、森七菜、吉岡里帆、吉村界人、光嶌なづな、根岸季衣
ナレーション:小林聡美
原作:真造圭伍
脚本:米内山陽子
音楽:富貴晴美
音楽プロデューサー:福島節
演出:松本佳奈、川和田恵真、髙土浩二
制作統括:坂部康二、熊野律時
プロデューサー:大塚安希
写真提供=NHK

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