『べらぼう』高岡早紀の魅力が凝縮された蔦重の母・つよ “謎の多い人生”に与えた深み

高岡早紀の魅力が凝縮された蔦重の母・つよ

 最近では、InstagramやYouTubeでのプライベートな空間を公開して話題になっていたり、若い頃から恋多き女性というイメージがあり、年齢を感じさせない華やかさも人気の所以。水泳部の美少女に一目ぼれした高校生カオルの恋愛騒動を描いた青春ドラマを描いた映画『バタアシ金魚』で高岡早紀は一目ぼれされて困惑する美少女・ソノコを演じている。

 望月峯太郎の同名コミックを原作として、映画公開は1990年6月2日。カオル(筒井道隆)はソノコにどんなに冷たい態度を取られても全くめげない。それどころか、カナヅチのカオルはソノコに良いところを見せたくてスイミングスクールにまで通い始める。そこでカオルは、水泳を基礎から教えてくれる白川和子演じるコーチのことを「ババァ」と呼ぶ。ここでまさかの、ババァつながり……とはいえ、1990年の映画の高岡早紀は、セーラー服が似合う眩しいほどの初々しく、爽やかな存在感を放っていた。

 このままアイドル一直線という戦略もあったかもしれないが、さまざまな作品を経て、本作のつよという女性をエネルギッシュに演じている。蔦重が7歳のときに夫と離婚し、幼少期の蔦重をどんな思いで置いて出たのか。耕書堂に現れるまではどこで何をしていたのか謎の多い人生ではあるが、蔦重にとって大切な存在であることに変わりはない。

 そして、蔦重と同じように、いちばん甘えたかったときに母親に甘えることができなかった歌麿にとってもつよは母親のようであり、最愛の妻を失った茫然自失の状態から気力を取り戻せたのも、つよの支えが大きかった。

 華麗な私生活や交友関係、美貌、理想的なプロポーションなど、演技以外のことが話題になりがちだが、高岡早紀の演技によって作品がさらに深みを増し、蔦重の新しい一面を引き出し、歌麿の揺らぎや弱さまでも浮き彫りにした。彼女の俳優としての凄さ、才能を見せつけるのにふさわしい役柄といえるだろう。

■放送情報
大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送/翌週土曜13:05~再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00~放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15~放送/毎週日曜18:00~再放送
出演:横浜流星、小芝風花、渡辺謙、染谷将太、宮沢氷魚、片岡愛之助
語り:綾瀬はるか
脚本:森下佳子
音楽:ジョン・グラム
制作統括:藤並英樹
プロデューサー:石村将太、松田恭典
演出:大原拓、深川貴志
写真提供=NHK

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