『シバのおきて』津田健次郎の柴犬声も最高 “愛”のため奮闘する登場人物たちが愛おしい

『シバのおきて』津田健次郎の柴犬声も最高

 片野ゆかによるコミック『平成犬バカ編集部』を原作にしたNHKドラマ10『シバのおきて〜われら犬バカ編集部』。第2回「シバが転べば、みな転ぶ」では、予想外の出来事に編集部の面々が右往左往させられてしまう。

 ライターとして編集部への加入を希望してきたコワモテの新藤(篠原悠伸)。実は手先が器用だったことから、相楽(大東駿介)は急遽福助に新藤の手作り衣装を着せる「デコシバ」企画を提案。

 相楽の思いつきに冷ややかな反応の石森(飯豊まりえ)たちは、巷の柴犬愛好家たちのもとを訪ねる「突撃!隣のシバライフ」で対抗する。そんな中、コスプレさせた福助を連れて街中での撮影に出かけたが、福助は突然の大きな雷の音に驚いてしまい脱走。相楽たちは死にものぐるいで福助を探し出す。

 不注意で福助を危険に晒したことを獣医の滑沢先生(松坂慶子)からひどく怒られ、犬への向き合い方を反省させられる一方、騒動により仲が深まった『シバONE』編集部。しかし、御手洗社長(勝村政信)が『シバONE』に課した条件ーー相楽がヒットさせた雑誌『パチンコ帝国』の30万部を超えなければ廃刊という指令が、石森たちにバレてしまう。ようやく生まれた5人の絆は壊れてしまうのだろうか……?

 第2回で初登場するのが、カメラマン三田(こがけん)が飼う“黒柴”の「ボム」。大人の渋い声に定評のある津田健次郎が声優を務めるボムは、ワイルドで女性に目がなく、かわいらしい顔立ちとのギャップが妙な面白さを醸し出す。柄本時生が声を担当する穏やかな福助とはひと味違う個性が、ドラマを一層魅力的にしている。

 もちろん、そうした犬そのもののかわいさやキャラクターの妙味だけでなく、今回も福助を逃がしてしまった人間たちの反省から何を学ぶべきか、大上段からではなく軽やかに示しているのも本作の好もしいところだ。

 第2回で成長を見せるのは石森だ。彼女は「今と昔とで違う犬のしつけの方法」や「家の中で柴犬を飼うためには」という企画を思いつくが、犬が苦手な石森が、そうした人と犬とのパートナーシップに重要な“おきて”を思いつくことこそ、犬を心から理解しようという努力の証に感じられる。また、「もしまた福助が逃げ出したら」というシミュレーションで、石森は最も犬に寄り添った行動をみせた。福助を抱きしめた石森がふと口にした「福ちゃん、ありがとう」というセリフがとても温かい。

 相楽もまた、徐々により良い飼い主になりはじめている。雷に驚いて首輪が外れてしまったとき、相楽はさらに大声を出し、一層福助を怯えさせてしまった。そんなふうに愛犬をかわいがりながらもどこか雑だった相楽が、第2回の終盤では少し成長した姿をみせる。大切な存在に対して本当に愛情が伝わるための試行錯誤を繰り返す相楽たちが、だんだん愛おしくなってくる。

 ところで石森の父(やす)が「あんまり犬に服を着せるのは好きじゃない」と言うように、犬に服を着せてかわいがるというのは作品の舞台となっている平成の時代からあったが、「飼い主のエゴでかわいそう」という見方もされていた。しかし、『シバONE』のモデルとなった雑誌『Shi-Ba』の創刊編集長である井上氏が言うように(※1)、地球温暖化の影響で昔より紫外線が強くなっている今、皮膚がんをはじめとした疾患を防ぐための有効なケアとして犬に服を着せたり帽子をかぶせたりすることが、獣医師をはじめとした専門家からも推奨されている(※2)。犬とともに暮らすための我々のアップデートは時代とともに続いていくのである。

参照
※1. https://www.bungei.shueisha.co.jp/contents/shinkan_list/temaemiso/181109_book01.html
※2. https://circus-ah.com/wp/archives/2749

■放送情報
ドラマ10『シバのおきて~われら犬バカ編集部~』
NHK総合にて、毎週火曜22:00~放送
出演:大東駿介、飯豊まりえ、片桐はいり、こがけん、篠原悠伸、やす、黒田大輔、水川かたまり、瀧内公美、勝村政信、松坂慶子ほか
声の出演:柄本時生、津田健次郎
原作:片野ゆか 『平成犬バカ編集部』
脚本:徳尾浩司
音楽:YOUR SONG IS GOOD
プロデューサー:内藤愼介(NHK エンタープライズ)
演出:笠浦友愛、木村隆文、加地源一郎、村田有里(NHK エンタープライズ)
制作統括:高橋練(NHK エンタープライズ)、渡邊悟(NHK)
写真提供=NHK

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