『シバのおきて』柴犬・福助に癒やされる眼福の45分間 幸福に生きるヒントがここに

9月30日より放送がスタートしたNHKドラマ10『シバのおきて〜われら犬バカ編集部〜』。相楽俊一(大東駿介)は売れ線のパチンコ雑誌の編集長だが、その自分勝手さに業を煮やした部下たちにボイコットされてしまい、編集長を追われてしまった。
そんなとき出版社社長・御手洗(勝村政信)から課されたのは新しい雑誌の立ち上げ。かつて手がけていたパチンコ雑誌を超える売り上げ部数を求められた相楽は、自宅の愛犬・柴犬の福助にヒントを得て、柴犬専門の雑誌『シバONE』を作ることに決定した。同じ頃、若手の編集者・石森玲花(飯豊まりえ)は、携わっていた釣り雑誌でいざこざを起こしてしまい、勢いで御手洗に退職届を突き付ける。

すると御手洗は、石森が希望していたサッカー雑誌への異動を条件に、相楽の雑誌に加わるミッションを命じた。ところが石森は、子供の頃のトラウマで犬が大の苦手。偏屈な相楽とも衝突を繰り返してしまう……。果たして彼らは、犬バカのための週刊誌を成功させることができるのだろうか?
福助をはじめ、ボム、ひとみと三匹の柴犬が登場する本作は、とにかく“シバ”たちがかわいい眼福の45分ドラマである。その一方で大東駿介がインタビューで自身が演じるキャラクターを「犬をとても愛しているけれど気持ちは分かっておらず、自分本位な飼い主というところから始まり、雑誌を作る上で犬のことを理解しようとしていく」と語っているように(※)、このドラマの重要なテーマは人間と犬とのより良い共生だ。

動物が登場し、かつ人間の声を当ててまるで彼らが喋っているような演出は珍しくはない。だが『シバのおきて』が他の作品と一線を画すのは、彼らの心の声を表現することにより、犬たちが喜ぶ、あるいは迷惑がっている飼い主の振る舞いをそれとなく視聴者に気づかせるストーリーラインになっているのだ。
たとえば相楽はお酒を飲んだ勢いで福助にまとわりついたりする。もちろん相楽なりの愛情表現ではあるものの、福助は「お酒臭い!」と内心嫌な気持ちになっている。福助はのんびり屋でおとなしい性格だ。そもそも犬をはじめとした動物たちは、人間のように饒舌に自分の好悪を表現することはできないのだから、我々が進んで理解する努力をしなければならないのである。そしてその努力は犬だけではなく、人間に対しても向けられていく。

石森と同じように加入したベテラン編集者・清家(片桐はいり)、カメラマンの三田(こがけん)も、みなそれぞれ個性とこだわりの強いクセ者だ。彼らがともに一冊の雑誌を作っていくことによって、今後互いの長所を理解し、足りない部分は補い合って成長していく展開が予想される。
犬派はもちろん、猫派も、そうでない人も、自分とは違う大切な存在と一緒に幸福に生きるための“おきて”を知るために、ぜひ観ておきたいドラマである。
参照
※ https://thetv.jp/news/detail/1296180/
■放送情報
ドラマ10『シバのおきて~われら犬バカ編集部~』
NHK総合にて、毎週火曜22:00~放送
出演:大東駿介、飯豊まりえ、片桐はいり、こがけん、篠原悠伸、やす、黒田大輔、水川かたまり、瀧内公美、勝村政信、松坂慶子ほか
声の出演:柄本時生、津田健次郎
原作:片野ゆか 『平成犬バカ編集部』
脚本:徳尾浩司
音楽:YOUR SONG IS GOOD
プロデューサー:内藤愼介(NHK エンタープライズ)
演出:笠浦友愛、木村隆文、加地源一郎、村田有里(NHK エンタープライズ)
制作統括:高橋練(NHK エンタープライズ)、渡邊悟(NHK)
写真提供=NHK





















