映画ファン必修科目! 世界No.1ヒットメーカー、ジェームズ・キャメロン監督の偉業伝説

ジェームズ・キャメロンという映画作家の存在は、もはや単なるハリウッドの大物監督の枠を超えている。
『タイタニック』(1997年)、『アバター』(2009年)、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(2022年)。この3作はいずれも世界歴代興行収入ランキングのトップに君臨し、TOP4のうち3本をキャメロンが占めるという、前人未踏の偉業を達成。「人類がもっとも観た映画=キャメロン映画」という構図が出来上がっているのだ。世界最高ヒットメーカーについて学ぶことは、もはや全映画ファンの必修科目である。

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この男は、いったい何が並外れているのか。まずは、ディテールへの異常なこだわりが挙げられる。『タイタニック』では沈没シーンをリアルに描くため、実寸大の船を建造し、巨大な水槽で撮影を敢行。『アバター』では、ナヴィ語にリアリティを持たせるため、言語学者に依頼して文法・語彙を持つ実用可能な言語として構築。ナヴィ族の狩猟方法、歌、宗教儀式も、文化人類学者の助言を受けながら創り上げていった。観客を映画に没入させるため、細部を徹底的に磨き上げるのがキャメロンの流儀なのだ。
科学的知識を映画に還元する探究心も挙げられるだろう。海が好きすぎることで有名な彼は、自ら深海探査艇を設計し、それを自分で操縦して、マリアナ海溝最深部への単独潜航に成功。彼は科学者でもあり、冒険家でもあるのだ。実践で培った生物学・物理学の知見が、『タイタニック』や『アビス』(1989年)といった作品に活かされているのだろう。
ソフト面だけでなく、ハード面の革新にも積極的。『アバター』では、3D映画という映画史の未来を切り拓いた。従来の3D作品が飛び出す効果にとどまっていたのに対し、彼は没入感と奥行きを重視。自ら「フュージョン・カメラ・システム」を開発し、観客がスクリーンの中に入り込む感覚を生み出した。『アバター』の世界的大成功は、劇場のデジタル化と3D文化を一気に加速させ、2010年代の映画産業の構造を変えてしまった。キャメロンは映画産業を丸ごと変革するイノベーターなのである。

数字やテクノロジーだけでは、彼の偉業は説明しきれない。「スペクタクルとエモーションの両立」を極めた映画監督としても、彼は高く評価されるべきだろう。例えば『タイタニック』は、単なる豪華客船沈没映画ではない。そこには身分違いの恋があり、観客を涙させる叙情的な物語があった。キャメロンは世界最大の興行収入を叩き出すと同時に、観客の心を確実に揺さぶったのである。
この「スペクタクルとエモーションの両立」は、初期作『ターミネーター』(1984年)からすでに芽吹いていた。一見すると殺人マシーンが現代に襲来するSFアクションだが、その核にあるのは「愛する女性を守るため未来からやって来た男」という、胸アツなストーリー。カイル・リース(マイケル・ビーン)とサラ・コナー(リンダ・ハミルトン)の短い恋は、血と銃火に彩られた物語の中で眩い光を放った。
その続編『ターミネーター2』(1991年)では、液体金属型T-1000とのバトルが観客を圧倒する一方で、「核戦争への警鐘」という普遍的テーマと、「核の恐怖に抗う母子の物語」という人間的テーマが脈打っている。SF的スペクタクル+人間ドラマ+社会的メッセージ。この三層構造が、キャメロン作品を唯一無二のものにせしめている。

そして、異星の文明ナヴィと人類の衝突を描いた『アバター』で描かれているのは、環境破壊、植民地主義、文化摩擦といった現代的テーマ。キャメロンは人類とナヴィという異なる種族の交流を通して、「愛と共生」を語り、「他者への共感」を促す。技術革新によってエモーションが爆発する瞬間こそが、キャメロン映画の神髄なのである。




















