『チェンソーマン レゼ篇』鑑賞前に押さえておくべきポイント 𠮷原達矢監督の演出を読む

『チェンソーマン レゼ篇』𠮷原達矢の演出

 藤本タツキの人気マンガを原作とした劇場アニメ『チェンソーマン レゼ篇』が、9月19日より公開。制作会社はTVアニメ版と同じくMAPPAだが、監督は中山竜から𠮷原達矢に変更されており、作風が大きく変化するのではないかと思われる。

 そこで今回は、𠮷原監督の作風を確認することで、劇場版でどんな変化が加えられているのか予想していきたい。

“Chainsaw Man – The Movie: Reze Arc” - Main Trailer/劇場版『チェンソーマン レゼ篇』本予告

 𠮷原監督は『ブラッククローバー』の監督を務めていた人物で、TVアニメ版『チェンソーマン』ではアクションディレクターにクレジットされていたほか、第4話の絵コンテ・演出も手掛けた。

 その作風については、9月5日にABEMAで先行配信された『チェンソーマン 総集篇』が参考になるだろう。というのも、同作はたんなる総集篇ではなく、随所で大きな変更点が見られるからだ。

 双方を比較してまず気づくのは、原作再現度がより高くなっていること。たとえばTVアニメ版の第1話、ゾンビの悪魔との戦闘シーンでは、デンジが「邪魔すんなら死ね!」と啖呵を切るシーンが描かれていた。しかし総集篇では「俺たちの邪魔すんなら死ね!」と、原作と一言一句違わないセリフとなっている。

『チェンソーマン 総集篇』 ©藤本タツキ/集英社・MAPPA

 この「俺たち」とはデンジ自身とポチタのことだが、総集篇ではポチタの顔のカットインが強調されていることも印象的だ。TVアニメ版と比べて、デンジとポチタの絆がより分かりやすく表現されるかたちとなっている。

 ほかにも総集篇では、原作の文脈を再現しようとする意図が至るところで見受けられる。たとえば初対面のデンジとパワーが街をパトロールするシーンや、マキマの前で口喧嘩し始めるシーン、パワーがお礼としてデンジに胸を揉ませるシーンなどで、コミカルな雰囲気にふさわしいBGMが流されていた。

 もっと細かい点でいえば、早川アキと同居生活を始めたデンジが我が物顔で長風呂する場面でも一部のセリフが再録されており、原作に近いハイテンションな鼻歌が披露されている。

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