成田凌の“意外性”が発揮? 『初恋DOGs』白崎快が見せる“クール×甘さ”の化学反応

『初恋DOGs』で成田凌の“意外性”が発揮? 

 火曜ドラマ『初恋DOGs』(TBS系)で、成田凌が演じるのは“動物しか愛せない”という少し不器用な獣医・白崎快。共演するのは清原果耶が演じる、愛を信じない弁護士・花村愛子だ。犬同士の“一目惚れ”をきっかけに、飼い主である二人の心が次第にほぐれていくという王道ラブストーリーの中で、成田はこれまでのイメージとは少し異なる、しかし確かに彼らしい存在感を放っている。

 成田といえば、これまで影や複雑さを帯びた人物を演じることが多かった俳優だ。映画『愛がなんだ』のクズ男・マモル、ドラマ『降り積もれ孤独な死よ』(読売テレビ・日本テレビ系)のトラウマを抱える刑事・冴木仁など、彼が演じてきたのは一筋縄ではいかない人間像だ。そんな成田が、TBS火曜22時という“恋愛ドラマの聖域”に出演するという知らせは、ファンや視聴者に小さな驚きをもたらした。だが、その意外性こそが今回の役柄を際立たせる要素となっている。

 白崎は、動物に対する愛情や仕事への真面目さは誰よりも強いが、人間関係には少し壁を作ってしまうタイプだ。職場でも人気のある獣医でありながら、他人との距離感を測るのが苦手で、自分の気持ちを素直に表すことができない。成田はその“こじらせ感”を、どこか愛おしく感じさせる表情や仕草で丁寧に表現している。

 彼が犬に向ける穏やかな笑顔や、愛子との会話の中でふと見せる柔らかい声色。それらは過去作で見せてきたクールな印象とは対照的で温かい。言葉で多くを語らずとも、視線や間の取り方、肩の動きや手の仕草が感情を雄弁に物語っている。こうした非言語の演技は、彼の得意とする領域でもあり、快というキャラクターを一層立体的にしているように思えた。

 成田のキャリアを振り返ると、その強みは一貫して静かな強さにある。『逃亡医F』では恋人殺しの濡れ衣を着せられ、逃亡者となった天才外科医・藤木圭介を演じた。極限状態の中で見せる誠実さや繊細な感情の揺れは、彼の俳優としての評価を一段と高めた。一方で、『降り積もれ孤独な死よ』の冴木は、幼少期のトラウマに苛まれながらも正義感を貫く複雑な刑事。感情を爆発させる場面と抑制した表現の対比が、作品の緊張感を生み出していた。

 こうした経験があるからこそ、『初恋DOGs』の白崎快という役も、単なる理想化された恋愛主人公にはなっていない。過去の影を思わせるようなまなざしや、心の奥底にある臆病さが垣間見えるからこそ、快はより人間味を帯び、魅力的に映るのだ。

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