『こんばんは、朝山家です。』朝子と蝶子の不器用さ 中村アンの演技力の凄さに圧倒される

「やっぱり、わたしの話は誰も聞いてくれない……」
発達障がいの弟を持つ“きょうだい児”である蝶子(渡邉心結)の心の闇にスポットが当たった『こんばんは、朝山家です。』(ABCテレビ・テレビ朝日系)第3話。正直なところ、賢太(小澤征悦)と朝子(中村アン)は、蝶子のイライラを「ただの反抗期」と認識しているのだと思っていた。
しかし、両親が晴太(嶋田鉄太)にばかり過剰な気遣いを向けることが、蝶子の嫉妬心や疎外感に繋がっていると、朝子は薄々気がついているようだ(賢太はちっとも分かっていないのだろうけど……)。
だからこそ、朝子は晴太が通う療育センター「ソーラー」で、職員の中川(小島健)に「晴太と姉との関係が良くなくて……」と相談をしたのだと思う。もちろん、中川は晴太の担当の職員なので、「多弁が止まらなくなると、結構酷い言葉をぶつけられるから、ただでさえ低い自己肯定感が下がっちゃいそうで……」と相談の視点が晴太寄りになってしまうのは仕方がない。
朝子の相談に対して、晴太と同じく不登校の過去がある中川も、「僕も、兄弟から『お前だけずるい』『怠け者』と言われて傷つけられましたから」と自身の経験を交えながら、共感を見せていた。しかし、その共感はあくまで晴太の立場に寄り添うもので、蝶子の抱える孤独や疎外感には着目されない。
現状、蝶子が両親に対して“期待”を抱いているのは間違いないだろう。自分が高校生の時のことを振り返ると、親に「今日、学校どうだった?」と聞かれても面倒臭くて、「普通」「いつもと変わんない」なんて素っ気ない返しをしていたように思う。しかし、蝶子は両親に話を聞いてもらいたいと思っている。だから、話を遮ってくる晴太に苛立ち、「うるせぇ、黙れ。何もできない奴が口を挟むな」などと酷い言葉をぶつけてしまうのだ。

























