『ちいかわ』アニメ再始動で高まる“島編”への期待 愛される理由は“シビアな世界観”にあり

『ちいかわ』アニメ再始動で高まる期待

 大人からも子どもからも愛されてやまない、アニメ『ちいかわ』。『めざましテレビ』(フジテレビ系)内で毎週火曜日と金曜日に放送されてきた本作は、愛らしいキャラクターたちが視聴者に癒しを届けてきた。4月から通常放送を休止しており、過去エピソードを放送するリバイバル期間を経て、7月15日から3カ月ぶりに新シリーズの放送を再開する。

 公式アカウントのフォロワーが410万人を超え、グッズなどの展開も広がっている。この人気は、単に「かわいい」だけが理由ではない。

 『ちいかわ』の魅力は、作者であるイラストレーターのナガノが生み出す圧倒的なかわいらしいデザインや世界観と、シビアでどこか現実を感じさせるストーリーのギャップにある。ファンシーな絵柄で描かれた、ちいかわ、ハチワレ、うさぎたちは、一見平和な世界で気ままに暮らしているように見える。

 しかし、彼らは意外と過酷な環境で生きていることが徐々にわかっていく。生計を立てるために、謎の生き物たちと戦う「討伐」や、「草むしり」や「シール貼り」に日々取り組んでいるのだ。

『ちいかわ』は『進撃の巨人』『まどマギ』よりも怖い? ダークファンタジーとしての強度

SNSで人気が広がり、アニメ化もされている漫画『ちいかわ』。かわいらしい見た目とは裏腹に、その本質が「ダークファンタジー」である…

 例えば、Web漫画で2020年から足掛け5年にわたって描かれてきた、草むしり検定のエピソードは、アニメでも描かれ大きな反響を呼んだ。「草むしり検定」とは、ちいかわの世界で定期的に行われる資格試験らしい。合格すると、日々取り組んでいる草むしりで得られる報酬がアップする。ちいかわは5級を目指してコツコツ勉強を続けており、その姿を見たハチワレも、こっそり勉強をする。一緒に試験を受け、合格発表を見に行くも、合格したのはハチワレのみ。落ち込むちいかわにハチワレは何て声をかけたらいいのかわからなくなってしまう。

 ハチワレが漏らす「同じ気持ちじゃないとき……どうしたらいいんだろ」というセリフは、大人だからこそ様々な過去の記憶が蘇る言葉だ。

 「草むしり検定」という、あり得ない設定にもかかわらず、友情の中に生まれた複雑な気持ちを描き、多くの視聴者の感情移入をさそった。

まさか『ちいかわ』で泣いてしまうとは 草むしり検定回でも描かれた“緊張”と“緩和”

“ちいかわ戦争”という言葉をご存知だろうか。これはイラストレーターのナガノが描く「なんか小さくてかわいいやつ」、通称“ちいかわ”…

 もう1つ『黒い流れ星』編も印象的なエピソードだった。ある日、ハチワレがちいかわにお願いすると願いが叶う代わりに、“なんか嫌な気持ち”になる「黒い流れ星」の話をする。その後、何事もなく楽しい1日を過ごして、夜眠って朝起きると、同じ1日がまた始まるというストーリー。

 ハチワレがちいかわに「こんな日がずーっとつづくといいよね」と話し、ちいかわが「うんッ」と答え、それを見ていた黒い流れ星が、同じ1日を繰り返させていたのだ。純粋な願いが予期せぬ事態を招く少し不思議なストーリーは、『ちいかわ』が持つほんのりダークな一面を見せた。

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