日本初“プレースメント広告型”ショートドラマ誕生 エアアジア『Fly and Go!』の革新とは

日本初の本格ロケショートドラマ『Fly and Go!~世界一ドタバタな出張~』。アジア最大級のLCC・エアアジア出資のもと、同社の路線網内で実際に渡航可能なアジア9都市で撮影された、“リアル×青春×旅”の本格映像作品だ。
ショートドラマの常識を覆す映像体験の斬新さは、そのビジネスモデルにおいても同様。「プレースメント広告」型のショートドラマとしては、本作が国内初の事例となる。
ショートドラマが「プレースメント広告」であることで、クリエイティブ・広告主双方にどのようなメリットがあるのか。本作の制作を手掛けた、株式会社One Acre Short Drama代表取締役・金子光三朗氏が語った。
「前提としてプレースメント広告とは広告主が意図した通りの場所に広告を表示する手法のことで、例えば特定のWebサイトのバナーだったり、YouTube動画の背景だったり、表示場所を自ら指定できるかたちの広告ですね。一般的なWeb広告と何が違うのかというと、例えばディスプレイ広告と言われるものだと、Googleが自動で最適な場所に貼りつけてしまう構造になっていますし、そこに表示される広告もオークション形式でどんどん入れ替わってしまいます。それに対してショートドラマ作品を広告として利用することで、半永久的にPRが可能になるということです。いまやあらゆる世代が視聴しているショートドラマ利用層に、自社の広告費で作品を作り、ブランディングアピールできるというのが初めての取り組みになります。例えば近い事例でいうと、かつて『テラスハウス』にトヨタさんの車のシーンが必ず入っていました。今回の我々の事例で言うと、移動手段には絶対エアアジアを使っていたり、機内食や客室乗務員さんが映っていたり、登場人物が持っているバッグにエアアジアのキーホルダーがついていたり、そういった形でショートドラマをプレースメント広告として制作していました」
『Fly and Go!』の主人公たちは、“エアアジアのインターン生”としてさまざまな都市を巡るという設定。本編ではエアアジアにまつわるアイテムが随所に登場する。

渡航のための飛行機はもちろんエアアジア。あるいは冒頭のシーンでは、濵咲友菜演じる陽菜が台湾料理を満喫しており、手持ちのバッグにはさりげなく“エアアジア”のロゴが。後にこの場面は“夢オチ”であることが明らかになるが、夢の中でもエアアジアグッズを肌身離さず持っているとは相当な企業愛である。

このようにエンタメを成り立たせながら同時に、さりげないプロモーションも実現させている点は非常に興味深い。ショートドラマでこうしたプレースメント広告を実現させたのは国内で初の事例とのことだが、それにはどのような意義があるのか。金子氏はこう語る。
「いろいろな見方ができますが、僕らのような制作会社にとっては、まず新しい販路ができることになります。従来であれば『BUMP』などのプラットフォームからお金を頂いて作るしかなかったのが、プラットフォームに限らずあらゆる事業主の広告費でドラマを作れることになります。しかも、本作は全話無料で配信する形になりましたが、場合によっては都度課金の形もありえるので、出資する側にとってはブランディングしながら収益も上げられることになります。この形が普及していったら、コストなしで作品が増えるわけですからプラットフォームにとっても大きなメリットになります」




















