心震わすパク・ジニョンの涙 『未知のソウル』が教えてくれた“自分を慈しむ”ことの尊さ

『未知のソウル』心震わすパク・ジニョンの涙

 ホスは、ブノンの言葉を聞いて、ミジの元へと走り、ミジは心の扉を開けたと同時に、ホスに抱きつかれる。ホスがミジを抱きしめながら、「そばにいてくれミジ、一緒にいてくれ」と涙を流す姿を見て、涙が溢れてしまう。パク・ジニョンの涙の演技には、彼の大きな瞳に感情が溢れ出ていて、「うるうる」「ぼたぼた」という表現がピッタリだ。涙が『ユミの細胞たち2』で見せたバビの涙も、辛さが伝わる芝居に涙がとめどなく溢れた。本作でも観るものを共感させる泣きの演技だった。“演技ドル”という枠を完全に超えた、俳優パク・ジニョンの熱演が視聴者を本作へ没入させたことは言うまでもないだろう。

 ミジは、自分の心を解放し、自尊心を取り戻すことで、自分の未来を作り出した。大学で学び、さらに大学院に進み心理の道に進む目標ができたのだ。優しく楽観的でありながら、繊細さと人の痛みに気づけるミジ。自身の心の闇を抜け出した経験が彼女の道を明るく照らしていくだろう。

 「その単元は終わり、次のチャプターが始まる(中略)私は目をそらすほうだった。主人公との別れが嫌で最終章を読まない」

 そう語るミジに、祖母ウォルスン(チャ・ミギョン)との別れが訪れる。ウォルスンの隣で眠るミジが、夢の中でウォルスンとの最期の会話を交わす場面は、涙腺を刺激するやり取りとなった。ミジが成長を遂げて、次のチャプターへと進むのだ。

 本作は、パク・ボヨンにとっても「未来は未知」だっただろう。彼女の1人4役という挑戦は、圧巻の演技を見せて視聴者の絶賛を集めた。パク・ボヨンが『未知のソウル』で魅せた「自然体」の芝居は、ミジとミレという愛すべきキャラクターを視聴者の心に強く刻み、パク・ボヨンの輝かしい代表作となった。

 ミレとミジの相手役であるイ・ホス役のパク・ジニョン、ハン・セジン役のリュ・ギョンスの好演も相まって、自尊心を取り戻すことをテーマに展開していく物語と、恋愛、内面、共に成長していく愛の物語は、心を揺さぶられる人が多く、心に浸透していくしっとりとした展開が大きな感動と共感を呼び幕を閉じた。脚本家イ・ガンが描いた世界と珠玉の言葉は、私たちが進む未来を明るく照らし、優しく温かく背中を押してくれる。ミレとミジが魅せてくれたように、私たちの未来は未知なのだからと。最後はこの言葉で締めくくりたい。

「昨日は終わった、明日は先、今日は未知だ」

■配信情報
『未知のソウル』
Netflixにて配信中
出演:パク・ボヨン、パク・ジニョン、リュ・ギョンス
演出:パク・シヌ
脚本:イ・ガン
(写真はtvN公式サイトより)

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「リキャップ」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる