大坂なおみがエグゼクティブ・プロデューサーに 『ジュリーは沈黙したままで』10月公開

『ジュリーは沈黙したままで』10月公開

 レオナルド・ヴァン・デイルの長編デビュー作『Julie Keeps Quiet(英題)』が、『ジュリーは沈黙したままで』の邦題で10月3日に日本公開されることが決定した。

 ケガを隠して競技を続ける12歳の体操選手を描いた短編『Stephanie(英題)』で知られるベルギーのヴァン・デイル監督による長編デビュー作となる本作は、15歳のテニスプレーヤーの心に迫った人間ドラマ。第77回カンヌ国際映画祭批評家週間でプレミア上映されSACD賞を受賞し、第97回アカデミー賞国際長編映画賞のベルギー代表にも選出された。

 ヴァン・デイル監督はスポーツ界で子どもが「小さな大人」として扱われる現実に強い問題意識を投げかけており、本作の共同プロデューサーには、社会問題に光を当て続けてきたベルギーの巨匠ダルデンヌ兄弟が名を連ねた。また、この物語に共感したテニスプレイヤーの大坂なおみが、エグゼクティブ・プロデューサーとして公式に後押しすることも話題に。大坂がメンタルヘルスの重要性を訴えたことに大きく感銘を受けたヴァン・テイル監督は、「彼女が声を上げてくれたことで、世界中の少女たちに“NO と言う選択肢”が開かれた。本当に価値あることです」と語っている。

 35mmと65mmフィルムで捉えられた映像は、『ダム・マネーウォール街を狙え!』『クルエラ』などで知られるニコラス・カラカトサニスが撮影。緊張感のあるボーカルスコアは、アメリカの現代クラシック作曲家キャロライン・ショウが手がけた。

 主人公となる15歳の天才ジュニア選手・ジュリーを演じたのは、実生活でも若きテニス選手であるテッサ・ヴァン・デン・ブルック。また、登場するティーンエイジャーたちは実際の所属クラブの仲間たちで、監督は彼らを子役に起用することでヴァン・デン・ブルックが安心できる空間づくりを徹底した。

 ベルギーのテニスクラブに所属する15歳のジュリー(テッサ・ヴァン・デン・ブルック)は、その実力によって奨学金を獲得し、いくつもの試合に勝利してきた、将来を有望視されているプレーヤー。しかし、ある日、信頼していた担当コーチのジェレミー(ローラン・カロン)が指導停止となりクラブから姿を消すと、彼の教え子であるアリーヌが不可解な状況下で自ら命を絶った事件を巡って不穏な噂が立ちはじめる。ベルギー・テニス協会の選抜入りテストを間近に控えるなか、クラブに所属する全選手を対象にジェレミーについてのヒアリングが行われ、彼と最も近しい関係だったジュリーにとっては大きな負担がのしかかる。テニスに支障を来さないよう日々のルーティンを崩さず、熱心にトレーニングに打ち込み続けるジュリーだったが、なぜかジェレミーに関する調査には沈黙を続けていた。

 あわせて、不穏な雰囲気をたたえたまま、壁を背に筋トレに励むジュリーのほか、しなやかな肉体でテニスのトレーニングをこなす様子やレッスン後の姿など、ジュリーの変わらない日常を捉えた6点のシーン写真も公開された。

 ヴァン・デイル監督からは声明文も到着した。

レオナルド・ヴァン・デイル監督による声明文

『ジュリーは沈黙したままで』との個人的なつながりについて語りたくなるが、皆さんにジュリーの声を聞いてほしい。
ジュリーが沈黙する姿を見て、なぜ沈黙するのか耳を傾けてほしい。
沈黙することがジュリーの掟であり、私はジュリーの掟を破らないと誓った。
だから私は、ジュリーの沈黙の中に光をもたらすという唯一の目的のために、
ジュリーの歩調、ジュリーの時間の中で物語を進めようと努めてきた。
ジュリーは自ら沈黙を選んだわけではなく、沈黙することで注目の的になろうとしているわけでもない。
優しい沈黙もあれば強烈な沈黙もある。時に暴力的で、特に力を与えてくれる。
ジュリーの沈黙に飛び込むことは驚くべき旅だった。
ジュリーは思いがけない形で私を導き、自分自身やこの世界について理解を深める手助けをしてくれた。
私たちは皆、何らかの形でジュリーであり、それぞれが沈黙を抱えているのだと気づかせてくれた。
新たな章を開くということは、ジュリーを放つことを意味する。はっきり言って簡単なことではない。
ジュリーは強いけれどまだ若く、もろくもある。もし何かあったら?
それでも...
ジュリーの沈黙は皆さんに知られることになった。
ジュリーの沈黙は今、あなたのものとなった。

レオナルド・ヴァン・デイル

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■公開情報
『ジュリーは沈黙したままで』
10月3日(金)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほかで全国公開
出演:テッサ・ヴァン・デン・ブルック、クレール・ボドソン、ピエール・ジェルヴェー、ローラン・カロンほか
監督:レオナルド・ヴァン・デイル
配給:オデッサ・エンタテインメント
2024/ベルギー・スウェーデン合作/オランダ語・フランス語・ドイツ語/100分/カラー/5.1ch/1.85:1/原題:Julie zwijgt/英題:Julie Keeps Quiet/日本語字幕:橋本裕充
©2024, DE WERELDVREDE 

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