『べらぼう』視聴者なら興奮すること間違いなし! 横浜流星の副音声も最高な『蔦重』展

『べらぼう』視聴者必見の『蔦重』展

 東京国立博物館から出た瞬間、思わず振り返ってしまった。まだ見足りない作品があったような気がして。

 NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』にハマっている筆者が、話題の特別展『蔦屋重三郎コンテンツビジネスの風雲児』に行ってきた。『べらぼう』ファンなら大盛り上がりすること間違いなしの内容だったので、要点ごとにまとめて紹介したい。

横浜流星の音声ガイドで始まる“江戸体験”

「耕書堂」の再現(最後の撮影可能エリアより)

 入場してすぐ、音声ガイドを借りる列に並んだ。普段は美術館の音声ガイドはあまり使用しないのだが、本展示においては大正解だった。

 蔦屋重三郎役の横浜流星本人が、45分間もナビゲートしてくれるのだ。イヤホンを装着し最初の展示へ向かうと、吉原の大門が目の前に現れた。そして流れてきたのは、あの『べらぼう』のメインテーマ。まるでドラマの世界に入り込んだような感覚になる。

 音声ガイドの内容も充実している。「この頃の江戸では、実は……」といった時代背景の説明から、「蔦重はこんな戦略を考えていました」といった裏話まで。ドラマでは描かれなかった部分を補完してくれるのがありがたい。

 そして音声ガイドのみで聞くことができる秋元康のスペシャルインタビューも必聴だ。現代の“コンテンツビジネスの風雲児”から見た蔦重像を語る内容は、新しい視点を与えてくれる興味深いものだった。

ドラマで見たあの作品が目の前に

 展示室に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは『吉原細見』の実物。第7回で蔦重が必死に作っていた“2倍売れる”細見『籬の花』だ。ドラマでは小道具として映っていたものの、じっくり見る機会はなかった。実物は想像以上に精巧で、当時の吉原の地図や遊女の名前がびっしりと書かれている。

 展示はドラマの進行に合わせて構成されているのも嬉しいポイントで、第22回まで進んだ今のタイミングならば多くの展示品をドラマになぞらえて理解することができる。

 そして筆者が最も感動したのは、恋川春町の作品群だった。特に『無益委記』の実物を見たときは、思わず立ち止まってしまった。紙面には春町独特の丸みを帯びたかわいらしい絵柄が並んでいる。朋誠堂喜三二(尾美としのり)と歌麿(染谷将太)が春町の新作を見たがっていた理由がよくわかる。

 ちょうど先週の第22話で、春町(岡山天音)が殻を破って“酒上不埒”として活躍する回が放送されたばかり。その記憶も新しい中で実物を見ると、作品に込められた春町の想いがダイレクトに伝わってきて、胸が熱くなった。

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