興収で読む北米映画トレンド
『リロ&スティッチ』北米V2、配信&グッズ展開が奏功 『ベスト・キッド』新作は思わぬ苦戦

5月30日~6月1日の北米映画週末ランキングは、ディズニーによる実写版『リロ&スティッチ』がふたたび首位に輝いた。週末3日間の興行収入は6300万ドルで、オープニング興行収入の1億4601万ドルからは56.9%減となったが、ハリウッドの大型フランチャイズとしては堅調だ。
北米興収は2億8012万ドル、海外興収は3億3070万ドルで、世界興収は6億1082万ドル。わずか10日間で、今年公開のハリウッド映画としては『マインクラフト/ザ・ムービー』(9億4705万ドル)に次ぐ成績となった。ディズニーは2025年公開作品の国内興収が累計10億ドルを達成し、現時点では大台を突破した今年唯一のスタジオとなっている。
実写版『リロ&スティッチ』の大ヒットは、2002年製作のオリジナル版を観て育った層が劇場に足を運んだことが大きな要因だとかねて分析されている。当時の子どもたちが大人になり、今度は自分の子どもと一緒に『リロ&スティッチ』を観ているのだ。

ディズニー・エンターテイメントのアラン・バーグマン共同チェアマンは、『リロ&スティッチ』が「ディズニープラスとグッズ商品の両方で爆発的に広がってきた」と明かしている。
スクリーンへの登場は23年ぶりだが、『リロ&スティッチ』は別のかたちで存在感を保ってきた珍しいシリーズだ。2004年~2007年には『スティッチ!ザ・ムービー』と『リロ&スティッチ2』、『リロイ&スティッチ』という3本の続編がソフト限定でリリースされ、2003年~2006年にはテレビアニメ『リロ・アンド・スティッチ・ザ・シリーズ』が、2008年~2011年には日本製作の『スティッチ!』などが放送されている。
こうした豊富なライブラリーゆえ、ディズニープラスにおける『リロ&スティッチ』関連作品の累計視聴時間はおよそ 5億4600万時間にのぼり、なんと『リトル・マーメイド』シリーズとほぼ同等。グッズの売上も2019年度の2億ドルから 2024年度には26億ドルに急上昇しており、今後も新たなデザインを大量に投入する計画だという。
オリジナル版、続編映画、テレビアニメ、テーマパーク、グッズと多角的な展開でファンをつかんできた『リロ&スティッチ』は、いまやディズニーでもトップクラスの人気を誇るフランチャイズだ。実写版の海外興収はメキシコ、イギリス、フランスなどで秀でた成績を収めており、世界興収10億ドルも視野に入ったところ。6月6日に公開される日本ではどんな結果となるか。

週末ランキングの第2位は、トム・クルーズ主演『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』。北米3861館で週末興収は2730万ドル、前週比57.4%減となったが、こちらも大型シリーズの第8作としては堅実な興行だ。北米興収は1億2261万ドル、世界興収は(中国市場での好調を受けて)3億5381万ドル。しかしながら、製作費4億ドルを回収するまでの道のりは長い。




















