『イケパラ』はなぜ何年経っても色褪せないのか 堀北真希版&前田敦子版の魅力を熱弁

いっぽう後者の主演を務めた前田は当時、AKB48の不動のセンターだった。アイドル戦国時代におけるトップアイドルの主演ドラマとあって、かなり話題になったのを覚えている。主題歌はAKB48の「フライングゲット」であり、あの頃の前田はひとつの時代を象徴する存在だっただろう。そしてドラマの放送の1年後にアイドルを卒業し、俳優業へと活動の場を移していった。もしも2011年の『イケパラ』で前田が主演を務めていなければ、『Seventh Code』(2014年)や『旅のおわり世界のはじまり』(2019年)といった黒沢清監督とのコラボレーションも生まれていなかったかもしれない。それでいてNODA・MAPの『フェイクスピア』(2021年)では、多くのアンサンブル・キャストを率いるさまに、彼女のセンター経験が生きているように感じたものだ。現在は『人事の人見』(フジテレビ系)に出演中であり、映画にもドラマにも演劇にも、前田の存在は欠かせない。

タイトルやあらすじから分かるように『イケパラ』には数多くの男性俳優が出演している。“堀北真希版”では佐野泉を演じた小栗旬を筆頭に、大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合)で好演中の生田斗真、活躍の場を世界に広げつつある岡田将生、つねに安定感あるパフォーマンスを展開する溝端淳平、さらには俳優デビューから間もない鈴木亮平が出演。“前田敦子版”では佐野泉を中村蒼が演じ、三浦翔平、間宮祥太朗、浅香航大に満島真之介、前田公輝、さらには若きバイプレイヤーである岡山天音と戸塚純貴も出演していた。『イケパラ』は才能ある俳優の発掘の場としても機能していたのだ。
もしもこの令和の時代に『イケパラ』のような作品が登場するとしたら、それはどのようなものになるのだろうか。SNS上ではルッキズムが加速するいっぽう、社会的には多くの反対の声が上がるようになってきた。ルッキズムの問題がいろいろなかたちで取り沙汰されるいまの時代においては、過去の2作とはまったくテイストが違うものである必要があると思う。
■配信情報
『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』
TVerにて配信中
出演:堀北真希、小栗旬、生田斗真、水嶋ヒロ、山本裕典、岡田将生、木村了、紺野まひる、松田聖子(特別出演)、上川隆也
©︎中条比紗也・白泉社/共同テレビジョン/フジテレビジョン





















