松本潤、『19番目のカルテ』は“嵐の活動終了”を見すえた一歩に 日曜劇場への帰還を占う

7月期TBS日曜劇場『19番目のカルテ』の主演を松本潤が務める。松本のドラマ出演は、2023年のNHK大河ドラマ『どうする家康』以来。嵐の活動終了発表後のタイミングで、多くのファンにとってうれしいニュースとなった。
松本の日曜劇場出演は、2018年の『99.9-刑事専門弁護士-SEASON II』(TBS系/以下、『99.9』)以来約7年ぶり。同作では、有罪率99.9%という刑事司法の壁に挑む型破りな弁護士・深山翔を演じた。有罪不可避な難事件に、持ち前の行動力と観察眼を駆使して逆転無罪を呼び寄せる深山は、リーガルドラマ史に残る“クセつよ”弁護士である。ひょうひょうとしたたたずまいと人を食った態度、スマートな外見から想像できないダジャレのセンスで周囲を戸惑わせつつ、法廷では一変して緻密な推論と雄弁さで検察側の立証を突き崩す。そのギャップに魅了された。
松本潤が演じるキャラクターはなぜ記憶に残る? 『99.9』でも示した“役作り”と“具現化”
「僕は事実が知りたいんです」ーー松本潤が主演を務める映画『99.9−刑事専門弁護士−THE MOVIE』がTBS系で1月12日2…
『19番目のカルテ』で松本が演じるのは総合診療医の徳重晃。キャリア30年目にして初の医師役に挑戦する松本がどんな医師になるか、今から期待が高まる。どんな病気も治すゴッドハンドの名医か、『99.9』の深山のような個性的なキャラクター、あるいは『ブラックペアン』(TBS系)で二宮和也が演じたような“悪魔”か。原作を読んだ限りで言うと、徳重は穏やかな性格で、豊富な医学的知識に加えて患者に寄り添うコミュニケーションと人間力を備えており、これらの基本路線は踏襲すると思われる。

その上で、松本ならではのテイストを期待したいところだ。『99.9』で顕著だった変人キャラまで行かなくても、これまで松本が演じてきたのは、一筋縄ではいかない良い意味で記憶に残るキャラクターが多かった。『花より男子』(TBS系)の道明寺、『ラッキーセブン』(フジテレビ系)の駿太郎、『失恋ショコラティエ』(フジテレビ系)の爽太など、単なるイケメンで終わらず、ほのかに自意識過剰さを漂わせた役柄は、親しみやさとキャッチーさを兼ね備えており、松本が演じることで新たな魅力が加わっていた。
それが最大限に発揮されたのが、大河ドラマ『どうする家康』といえる。史実をベースにファンタジー要素を加え、徳川家康と家臣団のドラマを軽やかなタッチで描いた同作は大河の新機軸をもたらした。もし松本が主演じゃなかったら、いくぶん違う作品になっていたとすら思える。