菊池風磨、いじられキャラから“実力派俳優”に 『#真相をお話しします』までの変化を辿る

菊池風磨、いじられキャラから実力派俳優に

 そして、2025年4月25日公開の主演映画『#真相をお話しします』は、菊池にとって新たなターニングポイントとなったといえるだろう。原作は結城真一郎による同名ミステリー小説。菊池が演じる桐山は、かつて一流商社に勤めながら、裏切りによりすべてを失い、今は孤独に生きる男だ。豊島圭介監督が「風磨、あんな顔するんだ」と絶賛したという演技からは、これまでの“いじられキャラ”とも、“ラブコメの相手役”とも異なる、影の深い人間像を感じとった。

 桐山というキャラクターは、表面的なカッコよさとは無縁だ。むしろ情けなさや、弱さ、人間臭さをさらけ出さなければならない。菊池が表現した静かな痛みは、バラエティ番組で見せる軽やかなリアクションとは正反対の、剥き出しの感情だった。役を通して描かれる孤独や喪失感は、どこか彼自身の“素の部分”とも重なり、静かに迫るような感覚があった。

 菊池の歩みを振り返ると、そこには一貫した“変化を恐れない”姿勢がある。ナルシストと揶揄されても、気分屋と評されても、アイドルとしてのイメージに囚われず、ドッキリにも全力で飛び込み、笑われることを恐れず、愛される存在へと自ら変化してきた。そして今、俳優としてさらに深い領域に挑もうとしている。

 現代のエンターテインメントにおいて、完璧な偶像よりも、揺らぎを持ったリアルな存在のほうが強く人を惹きつける。菊池風磨は、その時代の感覚を、無意識のうちに体現してきたのかもしれない。

 彼は次にどんな表情を見せてくれるのかはまだ誰にも分からない。だがひとつ確かなのは、変わり続ける彼の姿そのものが、私たちの期待を裏切らないということだ。

■公開情報
『#真相をお話しします』
全国公開中
出演:大森元貴、菊池風磨、中条あやみ、岡山天音、福本莉子、伊藤健太郎、栁俊太郎、綱 啓永、田中美久、齊藤京子、原嘉孝、桜井ユキ、山中崇、秋元才加、大水洋介、伊藤英明
監督:豊島圭介
脚本:杉原憲明
企画・プロデュース:平野隆
エグゼクティブプロデューサー:大脇拓郎
原作:結城真一郎『#真相をお話しします』(新潮文庫刊)
制作:ツインズジャパン
配給:東宝
©2025 映画「#真相をお話しします」製作委員会
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