『恋は闇』秋元康が不在でも流行なるか 『あな番』『真犯人フラグ』スタッフの真価問われる

『恋は闇』秋元康が不在でも流行なるか

 こうした中毒性のある仕掛けの数々は、過去に『あなたの番です』や『真犯人フラグ』(2021年/日本テレビ系)などで培われた“考察ドラマ”の文脈を色濃く受け継いでおり、再集結した制作陣による細やかな仕掛けや演出のセンスが、『恋は闇』のクオリティを一段と引き上げている印象だ。

 浩暉と万琴の関係性も単なる恋愛要素を超えて、事件の真相と深く結びつくサスペンスとしての緊張感を生み出し、白洲迅演じる刑事・小峰や、謎の男(萩原聖人)といった“怪しい”キャラクターたちが今後の物語にどう絡んでくるのかも楽しみである。

 そんな本作で最大の注目ポイントの1つとなっているのが、秋元康の不在だ。『あなたの番です』や『真犯人フラグ』では、秋元が原案・企画を務めていたが、今作にはその名が見当たらない。秋元は「ラストの引っ張り研究家」として知られ、死に方や見せ方に強いこだわりを持っていた。その影響力がない中で、『恋は闇』がどこまで考察ドラマとして成立するのか、視聴者の関心と共に不安要素ともなっているようだ。

 しかし、それは本作にとって“ハンデ”ではなく、“真価を問われるチャンス”とも言える。脚本の渡邉真子が持つ構成力と人間描写の精度、演出チームの緻密な映像作り、SNS時代に適したプロモーション戦略――これらが高次元で融合しているからこそ、『恋は闇』は“秋元康なし”でも初回から高い満足度を与えている。

『恋は闇』想像をはるかに上回る傑作になる予感 志尊淳のペースに呑み込まれる岸井ゆきの

志尊淳と岸井ゆきのがダブル主演を務め、4月16日にスタートした日本テレビ系水曜ドラマ『恋は闇』。“恋愛ミステリー”と銘打たれてい…

 今後、すべての伏線がどのように回収され、物語がどんな結末を迎えるのか。その瞬間、我々は「自信満々の考察が裏切られた」というあの快感を“三度”味わうことになるだろう。
“恋と闇”が交錯するこのドラマが、果たして“テレビドラマ史に残る作品”として語られる日が来るのか。その答えは、これから徐々に明らかになっていくに違いない。

『恋は闇』の画像

恋は闇

『あなたの番です』『真犯人フラグ』の制作スタッフが完全オリジナル脚本で描く“究極の恋愛ミステリー”。主人公・浩暉に次々と浮上する疑惑と、彼を愛したヒロイン・万琴の葛藤を通して、「真実を見抜けるか?」を描いてく。

■放送情報
『恋は闇』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:志尊淳、岸井ゆきの、森田望智、白洲迅、望月歩、小林虎之介、浜野謙太、猫背椿、西田尚美、萩原聖人、田中哲司
脚本:渡邉真子
音楽:末廣健一郎
監督:小室直子、鈴木勇馬
プロデューサー:鈴間広枝、能勢荘志、松山雅則
チーフプロデューサー:道坂忠久
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
©日本テレビ
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